イチロー先生に感激! 昨年に引退、現在はマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)が4日、智弁和歌山(和歌山市)の野球部で“アマ初指導”を行った。走塁などで持論を展開した後には現役時代に天才ヒットマンの異名を取ったフリー打撃を披露。生徒らを感激させた。

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名門・智弁和歌山で行った「イチロー先生」の真骨頂は午後からのフリー打撃で表れた。日本ハムからドラフト4位指名された細川凌平内野手(18)と2人一組で打撃ケージ入り。バントを転がした後、打ち始めた。

いきなり右へ二塁打性の打球を放つと2球目には柵越え。同校ではライト側後方には防球ネットを張っているがそれを越える“場外弾”を含め快音を連発。結局、76スイングで19本の柵越えを放った。

打球がネットを越えるたびに見守っていた生徒からは「えぐい!」とどよめき、感嘆の声が上がる。名門校の生徒ながら野球少年に戻った様子。日米で4367安打、235本塁打をマークし、球史に名を残した男の打球を見守った。

「緊迫したときは全体を見る。筋肉が緊張するとパフォーマンスが下がるのでそれを避けたい。打撃でもリリースポイントだけを見ると緊張する。全体を見ようとすること」。イチロー氏はそんな金言を次々に伝えていった。

日米で708個をマークした盗塁でも極意を伝えた。「盗塁はスタートで決まります。僕は(投手のクイックタイムが)1・2秒台だと難しかった。1・3秒以上かからないと成功しないスピードだった」。イチロー氏から次々に出る具体的な言葉に生徒らは真剣な表情でうなずいていた。

「応援を見て好きになって。智弁和歌山のファンなんですよ」。以前にそう話していたイチロー氏。昨年は同校教職員と草野球の対戦も行っており、アマ初指導の舞台も同校となった。

指導は今月2日から開始。初日はじっくり観察し、2日目の3日は徐々に指導を始め、最終日のこの日に自身の打撃を見せるなど全開モードに入った。さらに自分で自主トレのメニューを決めさせた。自身もその中の外野ノックに参加するなど終始、笑顔を浮かべるで明るいムード。希望していた指導にうれしそうな様子だった。