昨年はコロナ禍で大会中止となったセンバツ。昨春の同大会出場権を獲得していた32校のうち、12校に29日、再び吉報が届いた。各校はそれぞれの思いを胸に、センバツ切符を受け止めた。

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▼仙台育英 昨秋の東北王者が2年連続14度目のセンバツ切符を喜んだ。主将の島貫丞外野手(2年)は昨年を振り返りながら「先輩方の思いを背負って戦うことが大事」と誓った。今年は東日本大震災から10年を迎える。須江航監督(37)は「節目の10年に大舞台に立つことの意味を理解して、県民の皆様や多くの方々の思いを乗せたプレーをしたい」と力を込めた。

▼高崎健康福祉大高崎 先輩たちの思いを胸に刻んで戦う。小沢周平主将(2年)は「先輩の分も背負って、自分たちがやっていかないといけないなと。共通認識でやっていました」と決意を示した。3年生編成で臨んだ昨夏の交流試合はスタンドから声援。今春はグラウンドで、先輩たちの分まで勝利をつかむ決意だ。

▼東海大相模 2年連続出場に、エース左腕の石田隼都投手(2年)は特別な思いで挑む。昨夏の交流試合で甲子園を経験。「エースの自覚を持って、全試合投げるつもりで全力で投げたい」。門馬敬治監督(51)は「続けることの難しさがある。選手、スタッフ一丸となって権利を得た。誇りに思います」と言った。

▼中京大中京 原尚輝主将(2年)は、先輩の思いを胸に甲子園で戦う。「自分たちができることは先輩たちの思いを背負ってプレーし、日本一をつかむこと。それが僕たちに任されていることだと思う。チーム一丸となって、その目標を達成したいなと思います」。コロナ禍の今季も練習後のミーティングを欠かさず、「全員で助け合いながらこられた1年」と団結を深めた。

▼県岐阜商 中止となった前回大会に続いて30度目のセンバツ切符を手にした。鍛治舎巧監督(69)は「今はコロナ対策を徹底して、1つ1つ勝ち上がり、最後まで勝ち抜ければと思います」と目標を示した。春3度、夏1度の優勝を誇る名門も日本一は1940年の春が最後。「常に日本一を狙えるチームを作っていかないといけない」と3年前に母校に戻った。大会復活の春に完全復活を遂げる。

▼智弁学園 近畿王者が2年連続14度目の出場だ。山下陽輔主将(2年)は「昨年の主将の白石(陸)さんから『俺らの悔しい気持ちをお前たちで晴らしてくれ』と言われたので、その気持ちで臨みたい」と先輩たちの思いを背負う。この1年は調整が難しかったが、小坂将商監督(43)は「コミュニケーションを取る時間が増えた」とチームがまとまった部分をプラスに捉えた。

▼大阪桐蔭 春夏連覇を果たした18年以来、3年ぶりの春の聖地に帰ってくる。学校内で新型コロナウイルスの感染者が確認され、感染拡大防止のため通常の取材対応はなし。今田悟校長から電話で吉報を受け取った西谷浩一監督(51)は「いよいよ始まるな、という気持ち。昨秋から日本一を目指してやってきた。2年分の悔しさを持って戦いたい」とコメントを発表し、大暴れを誓った。

▼天理 元阪神などで活躍した中村良二監督(52)が涙した。昨年は近畿王者としてセンバツ出場の吉報を得ていただけに「ありがたい。昨年のメンバーのことを思うと、今も涙が出てしまう」と言葉を絞り出した。中止が決まった後もメンバーは気丈に振る舞っていたという。その顔が浮かぶたびに目が潤んだ。目標は「まず1勝です」と引き締めた。

▼広島新庄 左右のダブルエースで初優勝を目指す。2年連続3度目の出場。右腕の花田侑樹投手(2年)と左腕の秋山恭平投手(2年)を中心とした守り勝つ野球で、昨秋中国大会で初優勝を飾った。新チーム発足から対外試合は39連勝中。主将の大可尭明内野手(2年)は「安定した投手陣と粘り強い打撃が持ち味。しっかり守って打って、チーム全員で勝利を収めていきたい」と意気込んだ。

▼鳥取城北 激戦の中国・四国地区の5枠目をつかんだ。山木博之監督(45)は「50%だった。選手がうれしそうな顔をしていた。夢の場所。大きな意味の目標は日本一ですが、しっかりした試合をできるように」と気合を入れた。昨秋の中国大会はベスト4。畑中未来翔(みくと)主将(2年)は「つなぐ打線。コツコツ1点ずつ取る全員野球をしたい」。12年夏以来の聖地2勝目を狙う。

▼明徳義塾 馬淵史郎監督(65)は昨年の思いを胸に、センバツ初の頂点を狙う。2年連続四国王者として手にしたセンバツ切符。「もう1年たったんやね。去年、中止が決まった時はショックだった。俺も今までにないぐらい落ち込んだ。粛々と受け止めて、一生懸命がんばろう、と思う。今の世の中では、大会をやってくれるだけでもありがたい。やる以上は最大限に注意せなアカン」と話した。

▼明豊 先輩の悔しさを胸に優勝を誓った。川崎絢平監督(38)は「昨年、3年生が日本一を目標にやってきた。その思いをみんなで実現したい」。太田虎次朗(こじろう)投手(2年)は、巨人に19年ドラフト2位で入団した兄龍投手も果たせなかった聖地に挑む。昨年夏の交流試合で1イニングを経験し「またあの大きな舞台でしっかり試合を作れる投球をしたい」と気合を入れた。

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