昨夏の「2020年甲子園高校野球交流試合」に出場した磐城(福島)バッテリーが春から東京6大学に進学し、活躍の場を神宮に移す。エースの沖政宗投手が立大、主将の岩間涼星捕手(ともに3年)は法大と16日までに進路を決めた。岩間は「ジェットコースターのようだった」と、激動の高校野球3年間を振り返った。

磐城は昨年1月、19年秋の東北大会8強と台風19号のボランティア活動などが評価され、21世紀枠として46年ぶりのセンバツ出場を決めた。しかしコロナ禍で中止となり、さらには木村保前監督(50=福島商、現県高野連副理事長)と大場敬介部長(31=千葉・旭農)の異動も重なって、先が見えない時もあった。

その後は夏の甲子園も中止が決まったが、センバツ出場校への特別救済措置で同交流試合の開催が決定。1度は途絶えた聖地で都大会王者の国士舘(東京)に敗れたものの、3-4の好勝負を演じた。4失点完投の沖は「自分がグラウンドで一番高い場所に立っていますし、注目を浴びるポジション。笑顔で投げ抜こうと思った」と、伝統校のエースとして全114球を投げきった。

沖は3年間、自分の球を受けてくれた岩間に対して「自分がバッテリーを組んでから、岩間のミットが1ミリも動かないところに投げることが1つの目標だった。彼の配球に助けてもらいましたし、自分が最大限に力を出し切れた。最後まで甲子園のマウンドに立たせてもらえたのは岩間のおかげ。本当に最高なキャッチャーに出会えたと思います」と感謝した。

2人は大学でも野球部入部を希望しており、大学では同じリーグで優勝を争うライバルとなる。沖は「対戦できる機会があれば負けないように努力したい」。そして、ともに教員として母校の教壇に立つことも夢見る。岩間は「教員という目標に向かって、勉学にも励んで、家族への感謝の気持ちを忘れずに、高校の時と同じように頑張りたい」と、春からの新生活に目を輝かした。【相沢孔志】