第93回センバツ高校野球大会(19日開幕、甲子園)に出場する天理(奈良)が2月28日、天理市内で紅白戦を行い、今秋ドラフト候補のエース達孝太(2年)が今春最長となる7イニングを投げた。

4試合目の実戦登板でレギュラー野手の打線に臨み、2発を含む10被安打8奪三振2与四球6失点。最速144キロをマークした直球は外角低めに決まるなどプロ注目の力は見せたが、落ちきらないフォークを本塁打にされ「直球とフォークはぼくの投球のキー。精度を高めていかなければ」と第2日第1試合の初戦・宮崎商戦を見据えた。

最速146キロの直球、カーブ、スライダー、スラッター、フォークと多彩な持ち球に加え、昨秋からカウントを稼ぐ狙いでカットボールを練習。「まだ感覚が戻っていない。試合の中でなければ実感できないので」と課題を挙げる。一方で、体の使い方には手応えを感じている。

元近鉄の山崎慎太郎投手コーチ(54)に、常日頃から「体を使い切れ」と言われてきた。小手先で投げることを戒められた。冬の体作りの成果で「下半身の力の使い方は身についてきた」と実感する。

山崎コーチも体作りの成果を認めながらも、この日の6失点には「味方打線相手で攻め方が難しいのはわかるが、エースには味方を不安にさせない結果も必要」と、センバツという大きな舞台を控えたチームの大黒柱ならではの反省を促した。

193センチ右腕は、メジャーリーグでの活躍を野球人生の目標に掲げる。パドレス・ダルビッシュ、ナショナルズ・シャーザー、ドジャース・バウアーを「足して割ったような投手になりたい。ダルビッシュ投手のボールを操る力、シャーザーの力感なく投げられる技術、バウアーの野球に向き合う姿勢。そういったものを身につけていきたい」と壮大な理想を語る。課題を修正して立つ初戦のマウンドが注目される。【堀まどか】

○…オリックスの谷口スカウトが、28日の天理・達の投球を視察した。7回6失点の結果で、この日は本領発揮の投球内容ではなかったが、谷口スカウトは「(193センチと)長身で角度があるし、楽しみな素材です。変化球の決め球もあり、ここ一番の球に力がある」と評価した。