氷の街から聖地に乗り込む。第93回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)に21世紀枠で初出場する八戸西(青森)は「全国2勝」を目標に掲げる。昨秋はチーム打率3割5分1厘の攻撃力を武器に、初の東北大会で8強入り。同校のある八戸市は、明治時代からスケート文化が根付き、「氷都」の異名を持つ。今日4日から連載「甲子園で輝く! 氷都七星」と題し、チームの主力7選手を紹介する。第1回は1番打者の相前雄一朗遊撃手(2年)。同市内の強豪、光星学院(現八戸学院光星)出身の巨人坂本勇人内野手(32)に憧れ、背中を追いながら、甲子園では同じポジションに立つ。

甲子園のスターは俺だ! 八戸西には不動のリードオフマンがいる。「1番遊撃」の相前だ。ショート歴10年。野球を始めた小学2年から変わらない。その背景には、強く憧れる巨人坂本の存在があった。「坂本選手がきっかけで野球を始めた。ホームランを打つ姿が、かっこよかった」と理想像に描く。180センチ、75キロ、右投げ右打ち。笑顔もさわやかで、本家同様のスター性を感じさせる。

守備のお手本は、やはり坂本だ。4度のゴールデングラブ賞を受賞した名手の映像は、ユーチューブで何度も視聴済み。相前は「柔らかさを意識するようになった。試合前とかに見ることもある。大事な場面でアウトを取れるように」。愛用するグラブは坂本モデル。夏場は小型の“マイ冷蔵庫”で保管する。グラブの芯の硬さを保つことができ、捕球がしやすくなるという。「坂本選手がやっていたので、まねするようになった。もちろん効果もある」と手入れに抜かりはない。

強打の1番打者を目指す。「細かいことはせず、思い切りスイングできるのが自分の持ち味」と言い切る。昨秋はチームトップの9打点をマーク。打率2割3分1厘と伸び悩んだが、勝負強さを発揮した。今冬は「インサイドアウト」のスイングを徹底し、雪国の地で木製バットを振り込み続ける。「まだまだな部分もある。柔軟な打撃ができるようにする」と状態を仕上げていく。

来る春の聖地に気持ちは高まるばかりだ。「初打席の初球は(本塁打を)狙いますよ。元気と一振りで圧倒できたらと思っています」と頼もしく宣言した。氷都から羽ばたき、球界最強の遊撃手に君臨する本家のごとく、甲子園の主役に名乗りを上げる。【佐藤究】

◆相前雄一朗(そうぜん・ゆういちろう)2004年(平16)1月11日生まれ、青森・八戸市出身。小2から明治ドラゴンズで野球を始め、中学は明治中軟式野球部に所属。八戸西では1年秋からベンチ入り。180センチ、75キロ。右投げ右打ち。50メートル6秒4。遠投90メートル。血液型B。好きな食べ物はサラミ。