第22回全国高校女子硬式野球選抜大会が27日、埼玉・加須市内で開幕する。大会は過去最高の33校が参加し、クラーク仙台(宮城)は履正社(大阪)との初戦に挑む。昨秋の全国選手権代替大会後から元楽天外野手の森山周監督(39)が就任。前島悠(はるか、2年)は投手と打者の「二刀流」でチームを引っ張る。

冬季に磨いた打撃で大量得点を狙う。森山監督は「今年は打撃のチーム」と説明。新チーム移行後は、4秒に1回打つ連続ロングティーを10分間休まずに行うなど振り込んできた。選手たちには、体全体を使ったスイングで遠くに打球を飛ばすことを意識させた。実戦機会を経て、指揮官は「元々打撃は良かったが、打球がより強く遠くに飛ぶようになった」と成長を感じた。

投げては最速110キロ後半、打線の中軸を担う前島は「自分がキーマンになると思っている」と自覚する。静岡出身の左腕は中学時代、男子も所属する軟式野球クラブチームのエースとして全国16強入り。同校はプロ野球楽天と業務提携しており、元プロ選手から指導を受けられる環境にひかれて入学した。

自身初の選抜は、特別な思いで臨む。開幕の27日は母美香さんの誕生日で「宮城に行ってから頑張ってねと、よく連絡してくれる。とても支えになっています」と感謝する。チームの目標は日本一。「相手がどこでも自分たちの野球ができれば必ず勝てる。全員でまとまって日本一になりたい」。一投一打に思いを込めて、創部4年目での選抜初優勝に導く。【相沢孔志】

○…鈴木美咲内野手(2年)は今春卒業した3年生の思いを胸に戦う。中学時代は、前エースの小野寺佳奈投手(3年)、前主将の庄司美空さん(3年)と同じ中学女子軟式野球チームの宮城デイジーズでプレー。昨年はコロナ禍で大会中止となり、2年ぶり開催で初制覇を狙う。鈴木は「(昨年は)優勝を目指せるチームなのに出場できなかった。精いっぱい戦いたい」と闘志を燃やした。