関根学園は日本文理に6-5の逆転サヨナラ勝ちを決めた。1-5の9回、4安打、3四球で試合をひっくり返した。4-5とし、なお2死満塁で大竹直樹捕手(3年)が左中間を抜く、逆転の2点サヨナラ打を放った。日本文理戦の公式戦初勝利で8強入りした。9日、準々決勝が行われる。

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バットを放り投げながら、大竹はもう右腕を突き上げていた。4-5で迎えた2死満塁。カウント2-2からファウルで3球粘って、狙い通りの直球をフルスイングした。鋭い打球はあっという間に左中間を割った。「打った瞬間、抜けると思った。本当にうれしかった」。本塁付近にできたチームメートの歓喜の輪に両腕を横に広げながら走り込んだ。

「みんなが粘って、つないでくれた。勝ちたいと思った」と5番打者の大竹は言う。1-5で迎えた9回、先頭は6番・田原輝也中堅手(3年)。その後、3安打に四球を絡め、1点差まで詰め寄る。この回9人目の打者・大竹に打席が巡ってきた。安川巧塁監督(29)は「低めの球を見極めていた。僕より落ち着いていた」と緊張を強いられる場面の快打をたたえた。

チームの叱られ役が大竹だった。安川監督は「いい選手なのは分かっているが、甘やかさずにひたすら怒ってきた」と厳しい姿勢で向き合い、勝負強い好打者に成長させた。長野・小布施中出身で寮生活の大竹は「寮でも怒られていたけれど、ゴミ拾いなど周りを見る力を鍛えて捕手として役立たせている」と私生活から野球一色だった。

関根学園の日本文理戦勝利は公式戦初。安川監督は「創立以来初。やっと勝てた。感無量」と話した。14年夏の決勝、2-4で逆転サヨナラ負けするなど、あと1歩で勝利を逃がしてきた。「先輩たちの悔しい思いを晴らすことができてうれしい」と話した大竹のバットが関根学園の新しい歴史を切り開いた。【涌井幹雄】