札幌地区は、今春の甲子園に出場した北海が、昨夏南北海道大会4強の札幌大谷を4-0で下し、代表決定戦進出を決めた。プロ注目のエース左腕、木村大成(3年)が9回3安打4奪三振で、10日の札幌南戦に続き2試合連続完封で勝利に導いた。昨秋の全道大会準決勝(知内戦)から道内の公式戦4試合連続完封。昨秋の地区代表決定戦から続く連続無失点イニングを56回2/3に伸ばした。

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タフな北海の主戦が、またも9回を無失点で投げきった。木村は「0-0が続いていたが、井尻が打ってくれたので、あそこからギアが上げられた」。今大会からコンビを組み、4回に決勝打の後輩、井尻琉斗捕手(2年)に感謝した。これで、昨秋の地区代表決定戦(対立命館慶祥)の2回から、道内公式戦で計56 2/3イニング無失点と圧倒的な投球を続けている。

10日の初戦は日本ハム、DeNAなど7球団8人のスカウト視察する前で14奪三振完封。この日はオリックス、阪神など3球団4人が見守る中で再び快投した。奪三振は4と少ないが「真っすぐで空振りが取れず、序盤は球が浮いていたが、7回ぐらいから空振りを取れるようになった。途中で修正できたのは良かった」。中1日での連続完投は練習試合も含め今年初だったが、疲労を抱えながらしっかりと役目を果たした。

センバツ出場枠ですでに全道切符は獲得。そんな中で背番号1が登板し続けるのには理由がある。平川敦監督(50)は「上のレベルでやりたいと言っている。そのためにはもう1、2レベル上げないと。こういう状況で6月もどうなるか分からない。公式戦ができるうちに、やるべきことをやっておかないといけない」。緊張感ある公式戦で投げ抜くことが春夏連続甲子園、さらに将来のプロ入りへの大事なステップになる。

コロナ禍で昨秋は明治神宮大会がなくなり、5月の連休以降は練習試合も自粛になった。木村は「夏に向け、公式戦の方が得るものが多く、今長く投げられるのはうれしい」。最後の春、そして夏をつかむため全力で投げ続ける。【永野高輔】

○…今大会で公式戦初のベンチ入りを果たし、2戦連続先発出場の井尻が、4回1死一塁から先制の左越え適時二塁打を放ち、勝利に貢献した。バットを拳1個分短く持ってコンパクトに振り抜き、外野の頭を越える長打にした。「短く持っても、芯でとらえれば飛ぶ。木村さんがゼロで抑えていたので、何とか点を取って楽にしてあげたかった」と振り返った。