関東第一(東京)が、サヨナラ勝ちで初戦を突破した。米沢貴光監督は「思っていた以上に千葉学芸さんが素晴らしいチームで、手も足も出なかった。9回は(2死から)四球をもらえたことが大きかった」と振り返った。

試合を決めたのは、努力の男だった。2点を追う9回に1点を返し、なおも2死二、三塁で、6番の初谷健心(けんしん)内野手(3年)が打席に立った。ここまで3打数無安打だったが、「絶対に勝つ」と誓っていた。

高めの直球を右前へはじきかえし、サヨナラ2点適時打。ベンチから飛び出してきたチームメートと抱き合った。人生初のサヨナラ打で「思い切って打とうと思っていました」と話した。

この日は午前5時40分に起床。6時から宿舎の駐車場で約45分間、1人で黙々と素振りをしていた。今年3月、守備練習の際に左の肋骨(ろっこつ)を骨折。全体練習に参加できない時期もあった。復帰後も調子が上がらず「ずっと練習試合から打てなくて、それでも監督が使ってくれていた」。ひたすら練習する姿を見ていたチームメートからは「(練習を)やってきたぞ。思い切りやれば打てる」と声をかけられて、打席に向かっていた。

米沢監督は「ケガもあって苦しい時期もあった。今朝6時からバットを振っていたので、最後にこいつで(決めて)と思った。これで、一皮むけてくれたら」と期待していた。