創立120周年の節目にタイトルを奪い返す。完全無観客で2年ぶりに開催される春季全道高校野球が24日、札幌円山で開幕する。3年ぶりに春全道出場の北照は、24日の1回戦で士別翔雲と対戦する。昨秋は地区初戦敗退で、新チーム初の全道舞台。19年夏の甲子園でベンチ入りした主将の小田切順正二塁手、左腕の門田浩輝投手(ともに3年)が中心となり、7年ぶり春の頂点に立ち、夏の甲子園出場につなげる。

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屈辱を胸に、春の全道に挑む。昨秋は小樽地区初戦(小樽双葉戦)で、3-5と逆転負けを喫した。

主将の小田切は「打線のつながりがなく敗れた。自分たちの力を過信していた」。門田は「チーム一丸で戦えていなかった。僕らの代では最初の道大会。力を合わせて勝ち上がり、夏につなげたい」と意気込んだ。

甲子園10度出場の強豪復権へ、聖地を知る2人がけん引する。18、19年には夏の南北海道大会連覇。19年夏、小田切は背番号15、門田は13で甲子園を経験した。小田切は出塁した先輩のエルボーガードを受け取る役、門田はバットボーイ。プレーはできなかったが当時1年で、2人だけがグラウンドレベルで聖地を味わった。門田は「楽しかった。今度は自分があのマウンドに立ちたい。そのためにも、春の投球が大事」と気を引き締めた。

今年で創立120周年。今春、節目を記念しメモリアル練習着ができた。胸には春夏の甲子園回数を表す10個の星、左肩には昨夏、独自開催だった南大会初戦敗退、昨秋の地区初戦敗戦からの復活を掲げた「Re:Venge」の文字が入った。地区予選は打率5割3分8厘と好調な小田切は「今の北照は弱いと思われている。全道大会は強いチームがたくさん来るが、周囲のイメージを覆したい」と強い口調で話した。

地区予選開幕前、小田切の元に、19年夏の甲子園に導いた伊藤陸元主将(19=六花亭)から「秋の雪辱、頼んだぞ」とメールが届いた。13日の地区初戦(小樽水産戦)には19年南大会優勝時のエース桃枝丈(19=同)がスタントを訪れ、メンバーを鼓舞した。「俺たちが果たせなかった夏の甲子園1勝を遂げてほしい」。門田は「先輩たちが長い歴史をつないでくれた。特別な年に3年を迎える僕らは、より強い気持ちで臨みたい」。まずは春に結果を出し、夏へ助走をつける。【永野高輔】