5年ぶり13度目出場の北海道栄が、遠軽に6-5の延長10回サヨナラ勝ちで、初戦を突破した。昨秋に投手から転向した奥山陸也捕手(3年)が、サヨナラスクイズを決めるなど3安打4打点で勝利に導いた。白樺学園は昨秋全道8強の札幌光星に6-4で競り勝った。クラークは札幌平岸に10-0の5回コールドで1回戦を勝ち上がった。

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延長10回、1死三塁の絶好のチャンスで8番奥山に打席がまわった。北海道栄ベンチから出たサインはスクイズ。「絶対に決めるという気持ちで、なんとか転がしてサヨナラで勝つという気持ちだった」。難なくバットにボールを当て、三塁走者がホームに生還。サヨナラ勝ちを引き寄せた。

第1打席からバットは振れていた。2回1死二、三塁では、2点適時内野安打で先制点をもたらした。逆転を許した後の5回2死三塁では、一時勝ち越しとなる適時内野安打。計4打点と打席で結果を残した。

糸瀬直輝監督(45)は奥山を「下位の4番」と表現する。室蘭地区代表決定戦で6番に座るなど、本来なら中軸を打つ力を持つが、捕手に専念にしてほしいという糸瀬監督の考えがあり、この日は8番で起用された。「下位において楽に打てるようにしてもらって、いい場面で打点につながった」と胸をなで下ろした。

昨秋まで投手を務めていたが、制球難などを理由に昨年11月、中学まで経験のあった捕手に転向を志願した。打力を生かすために冬場は徹底して振り込んだ。全体練習後の個人練習ではティー打撃などを中心に行い、遅い時は寮の前で午後10時半頃までスイング。積み重ねた成果が全道の舞台で発揮された。

実家は兵庫・西宮で甲子園球場は車で約10分ほどの距離にある。幼少期によく試合観戦に訪れたことがある夢の聖地を目指し、まずは春の全道制覇が目標になる。次の北照戦に「打撃がいいチームなので(投手に)低めを意識させるイメージでいきたい」。打撃はもちろん、女房役としても引っ張っていく。【山崎純一】

▽リリーフ登板した北海道栄の小沼快登投手(3年) (2失点の)9回は油断してしまった。次の試合は低めに丁寧に投げていきたい。

○…遠軽は相手を上回る12安打を放つも、準優勝した02年以来の勝利を逃した。0-2の4回無死一、三塁で、6番大崎仙太郎一塁手(3年)が「直球を狙っていた。打てて良かった」と左中間に一時逆転の3ラン。2点を追う9回に追いつき延長に持ち込んだが、接戦をものにできなかった。阿波克典監督(35)は「9回にひっくり返せなかったのが全てかなと思う」と悔しがった。