春季北信越高校野球大会は5日、ハードオフ新潟ほかで開幕する。地元新潟から出場する県大会上位4校の横顔を紹介する。1回目は県3位の新潟明訓と新潟。敦賀気比(福井1位)との初戦を迎える新潟はチーム一の元気者・宮沢光士郎右翼手(3年)が今大会限定で三塁を守り、内野からナインを鼓舞する。

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三塁の守備位置でひときわ、大きな声を張り上げるのは宮沢だった。目を大きく見開き、ノックのボールに食らいつく。主将の佐藤育遊撃手(3年)が故障で欠場するための配置換え。後藤桂太監督(54)は「一番元気があるから、三塁に持っていった」と話した。

春県大会は専門の右翼手と、一塁手を兼任。北信越大会では未経験の三塁を背番号9のまま担う。宮沢は「主将のケガで内野をまとめる存在がいない。周囲を見回して元気にチームの雰囲気をつくりたい」と言う。副主将としてチームをまとめる責任を自分に課した。

野球部内に7個の「部」を置き、役割分担している。宮沢が部長を務めるのは「企画開発部」。日々の練習メニューを作成する部門だ。土、日曜の練習試合で生じた課題を翌週の練習に取り入れ、強化を図る。対戦相手のデータを収集分析する「インテリジェンス部」の資料をもとに対策を練った練習メニューを組むこともある。「チームに必要なことを練習に取り入れる」。

そんな活動がチーム力を向上させてきた。フォア・ザ・チームの心が自然と養われた。後藤監督は「試合の中で何をするべきか、役割を徹底する力がある」と言う。1回戦の相手は敦賀気比だが「ウチとしてはいい機会。チャレンジマッチ」と後藤監督。宮沢は「常に笑顔でプレーしたい」とポジティブ思考だった。【涌井幹雄】

◆宮沢光士郎(みやざわ・こうしろう)2003年(平15)5月24日生まれ、新潟市出身。鳥屋野中卒。野球は小2から女池ロードーズで開始。春県大会は終盤2試合で5番打者を担い、14打数5安打の打率3割5分7厘。右投げ左打ち。180センチ、75キロ。