上尾鷹の台・上尾橘・熊谷農・深谷の4校連合(埼玉)が、初めて顔を合わせた。26日、埼玉・上尾市内の上尾鷹の台高グラウンドに選手が集まり、自己紹介から練習が始まった。

県大会初戦の7月12日武南戦(市営川口)まで残り約2週間。緊急事態宣言の影響で、ここまで合同練習ができず、この日の川口市立との練習試合では初めてプレーするポジションの選手もおり、タイムをかけてサインやポジショニングを入念に確認した。3イニングごとに区切る特別ルールで、1~3回は6-8と接戦に持ち込んだ。指揮を執る熊谷農・柿沼智貴監督(30)は「初めてにしては、思っていたよりもしっかりできたので安心しました」と話した。

主将を務める熊谷農・成田一翔投手(2年)は「最少失点で抑えることが大事になる。みんなでコミュニケーションをとっていきたい。最初は緊張していたけど、練習試合は楽しかった。体力の問題で、バテましたけど」と笑った。

試合中、「ナイスボール!」というよく通る明るい声が何度も飛んだ。相手チームの了解を得て、女子選手の熊谷農・伊島佳乃内野手(3年)が三塁で途中出場。守備ではライナーに飛びつくも、グラブをはじかれ悔しがる場面もあった。普段から、4選手と練習を重ねる。まじめな姿勢とコンパクトな打撃、球さばきのうまい守備は後輩のお手本。「女子だから、と特別扱いはされたくない。1人の仲間として戦っています」と笑顔で話した。県大会には選手として出場できないが、サポートではなくあくまでも「一緒にプレー」する気持ちで応援する。

学校では生物生産工学科に所属。農業クラブでは学校の名物「くまのうアイス」に携わり、県代表として8月のプロジェクト発表関東大会に出場する。「アレルギーに対応したアイスや、新フレーバーも、これから作っていきたいと思っています」。兄の影響で小2から始めた野球。走攻守すべてプレーできる魅力にはまり、高校卒業後も、女子野球のクラブチームでプレーする予定だ。

練習試合の後は、投内連係やノックなどで汗を流した。互いに名前で呼び合い、きついメニューも笑顔で乗り切った。部員1人の深谷・宍倉飛鳥投手(2年)は「連合チームになった時、『こんなもんか』と思われないように練習してきました。試合をやるからには、勝ちたい。チームメートの良い所は、意識して学びます」。熊谷農・清水要内野手(1年)は、捕手、投手と複数ポジションをこなした。「違う学校の選手だけど、初日から仲良くできた。初戦の相手は強いけど、大崩れしない試合ができたらと思います」と話した。

今後は、顧問同士でメニューを共有し、平日はそれぞれの学校で練習。週末に集まって実戦を行い、初戦を迎える。柿沼監督は「失点を抑えることが大事になる。大量失点をしないで、戦えるか」とポイントを挙げた。

登録選手13人+伊島内野手の計14人にマネジャーを加えた全員の絆で、夏に臨む。【保坂恭子】