身延が圧勝した。3回表、5連打などでこの回6安打を集めて8点を奪い、日川の先発左腕小鷹柾也投手(3年)を攻略。ここから一方的な展開となり、日川は2番手の向井遙大外野手(3年)も勢いを止められず失点を重ね、5回までに大量15点を失った。

身延の中山賢人監督(32)は驚きの表情で試合を振り返った。日川とは練習試合で2試合経験しているが3月は2-20、6月は3-11といずれも大敗している。それだけに中山監督は「この逆の展開も覚悟していました。出来過ぎです。向こうの強みを消して、こちらが強みとしてやれば相手も嫌がる。だから守りで崩れちゃいけないと言ってきました」と、ポイントを挙げた。

守備で両チームが明暗を分けた。いきなり身延は初回の守備で主将の鈴木祐幸内野手(3年)が平凡な内野ゴロを捕球ミス。しかし、中山監督は「ふだんはミスしない子がオープニングエラーとは思いませんでした。でも、あれでみんな気が楽になったと思います」と、前向きに解釈し、その後をエース左腕の浦野瑶平投手(2年)が打ち取りペースをつかんだ。

流れを変えたのは両チーム無得点の2回裏、2死走者なしで日川の渡辺竜真捕手(2年)の左中間を破ろうという打球を、身延の伊藤寿希也外野手(3年)がダイビングキャッチした場面だった。伊藤は「日川はいつも守りから流れを持ってくるので、自分たちも同じことをしようと。練習試合ではいつも日川がしっかり守って、こっちにミスがでてそこを日川打線に付け込まれる展開でした。あの場面は打球が飛んだ瞬間に行けると思って飛び込みました」と、これまでにない試合展開の予感を抱いていた。

このプレーを中山監督も「伊藤は今まであのプレーができなかったんですが、今日はできましたね。そういえば、初回の鈴木のミスもいつもは見ないプレーです。鈴木も伊藤も、いつもと違う自分に出会ったようです」と笑った。

そして日川にミスが出る。伊藤のビッグプレー直後の身延の攻撃は1死満塁。遠藤翼外野手(3年)の打球はショートゴロも、併殺を焦った内野陣が乱れ、二塁から一塁への送球が悪送球となり2点を先制。ここから先発小鷹が制球を乱すなどして身延打線が連打を浴びせて試合を決めた。

中山監督は「相手のミスに一気に攻めこもうとは言ってきました。ここまでの点差になるとは本当に想像できませんでした」と、あらためて驚いた表情を見せた。