ノーシードから10年ぶりの甲子園へ、帝京が快勝発進を決めた。大会初戦となる淑徳巣鴨との2回戦で6回コールド勝ち。13安打5盗塁で10得点、投げては3投手で無安打無得点リレーと投打に圧倒した。昨秋都大会は2回戦で小山台に0-10のコールド負け。今春は1回戦で日本学園に敗退と、ふがいない試合が続いていた。「強い帝京」復活へ、前田三夫監督(72)が手腕を振るう。

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二塁打3連発で締めた。8-0の6回、2番本村から長打を続け2点追加。10点差とし、コールド勝ちした。5盗塁と足も絡めた。先発に抜てきされた1年生右腕の高橋蒼は、予定の2回を超える4回まで投げ2四球のみ。5、6回はエース安川と大塚が完璧につなぎ、投打にスキがなかったように見える。それでも、甲子園通算51勝の前田監督は満足しない。「前半は、まだまだの場面がありました。その辺を、しっかりさせないと」。3回までは1点のみと攻めあぐねたことを忘れなかった。

春の反省がある。年明けから、練習試合は強豪に互角以上。ところが、春季大会は初戦でミスも出て敗れた。「緊張感がなかったよね。練習試合で勝ってたから、練習試合のつもりで入っちゃった」。この大会後はコロナの影響で、10試合ほどしか練習試合を消化できなかった。実戦不足を補うべく、この日の試合前には「いつもの夏とは違うぞ。普通に入ったらやられる」とカツを入れて引き締めた。

雰囲気作りも抜かりない。6月の抽選会は、監督自らの発案で3年生がじゃんけん大会。勝ち残った田巻にくじを引かせ、8強までシード校と当たらないヤマを手にした。2日前には早めに練習を切り上げ「空気を吸ってこい」と送り出した。ベンチ入り選手たちが会場となる神宮球場の周りを歩き、気持ちを高めた。

5回に2ランを放った主将の武藤は「東東京の連覇ができるのは自分たちだけ。先輩方から『託した』と言われてます」と気合たっぷりに言った。昨夏、東東京を制したが、独自大会のため甲子園はなかった。11年夏以来の聖地へ。魂を込めて戦う。【古川真弥】

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