平城(へいじょう)は来年3月31日での閉校が決まっており、今年が最後の夏。耐震問題で現平城の校舎に、奈良が移るという両校の対戦だった。試合は3年生のみ10人の部員で挑んだ平城が、7-6のサヨナラ勝ちで激闘を制した。

応援席にも熱気があふれた。感染症対策で大きな声が出せない中、家族や学校の仲間たちの手拍子が選手たちを後押し。同点に追いつかれた直後の9回裏1死満塁。「この回でサヨナラにしようとみんなで話した。打てていなかったので絶対にかえそうと思った」と山下荘大外野手が左越え適時打を放ち、試合を決めた。

入学時から10人欠けることなく、最後の夏を迎えた。福角健太主将は「休み時間になれば、違うクラスから10人全員同じ教室に集まるほど仲が良い。チームワークはどこにも負けない。今日の試合を勝てたことでこの学校に入学して良かったと思えた」と笑顔。9回の投球練習で足をつりながらも投げ抜いた寺山継介投手は「応援が力になった」と大会前、紅白戦の相手をしてくれた卒業生らにも感謝した。吉岡健蔵監督(60)も「最高の試合だった」と会心。最後の夏はまだ続く。1回でも多く、校歌を歌う。【岡崎空日南太】