新庄イズムで聖地を目指す。高校野球福岡大会は13日、各地で2、3回戦が行われた。プロ野球阪神や日本ハム、米大リーグなどでプレーした新庄剛志氏(49)の母校、西日本短大付は、プロ注目コンビの林直樹内野手と三宅海斗捕手(ともに3年)が計3安打3打点と活躍。4番を務める三宅は今夏1号を放った。西村慎太郎監督(49)は、新庄氏と同学年で高校時代のチームメート。「スター」の系譜を受け継ぐナインが、11年ぶりの栄冠をつかみにいく。

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プロ注目の3、4番コンビがコールド勝ちに貢献した。4番三宅は3回に高校通算21号となるソロアーチ。「狙って打ちました。打った瞬間に分かりました」。高校通算10本塁打の3番林直も、0-1の1回に中越え同点適時二塁打を放った。「ピッチャーを楽にさせようという気持ちで打ちました」。2人で計3安打3打点。9得点した打線をけん引した。

タクトを振るのは西村監督。新庄氏とは同学年で、高校時代のチームメートだった。昨年12月、48歳ながらNPB復帰を目指して12球団合同トライアウトに参加した姿に「どれだけ練習したのか想像もつかない。派手さばっかり見られがちだけど、裏でどれだけ頑張っているか。みんなはそれを知らない」。白球をともに追いかけた一流の努力を、西日本短大付ナインに説いてきた。

当時は練習の終了時刻が夜中になることもあった。帰路につく選手をよそ目に、新庄氏だけはまだバット振っていた。「寝よう」と声をかけても「(先に)寝なよ」と返答する。早朝5時からはグラウンド整備があったが、お構いなし。プロに入っても「自分は一番下手。次元が違うから頑張るしかない」と話していたという。

西村監督 そういう時代でした。今そんなことをしたらおおごと。でも、みんなプロ野球選手の華やかな部分だけを見ているけど、相当やってますよ。

西村監督が知る新庄氏の努力を、林直や三宅にも継承した。新庄イズムを受け継ぐ西日本短大付。11年ぶりの福岡制覇で、大先輩に吉報を届ける。【只松憲】