高校球界が、またコロナ禍で大揺れだ。春夏通算34回の甲子園出場を誇る星稜が21日、開催中の第103回全国高校野球選手権石川大会への出場を辞退した。野球部員を含む学校生徒が新型コロナウイルスに感染。石川大会の優勝候補の一角だが、苦渋の決断に至った。

20日の日中、野球部員を含む複数の生徒の感染が判明。その日のうちに、学校は県高野連に報告した。同校は石川大会で鶴来、羽咋に勝ち、8強に進出していた。22日に石川県立野球場で遊学館と準々決勝を戦う予定だったが、感染者が複数だったため他の選択肢はなく、辞退に至った。この日、石川県の谷本正憲知事は、同校でクラスター(感染者集団)の発生を確認したことを明らかにした。

日本中の高校で、地方大会出場辞退が相次いでいる。10日に福井商が野球部員などの感染を確認し、出場辞退。13日に中越(新潟)も校内での感染拡大で臨時休校となり、出場できなくなった。15日は海部(徳島)が休校で球児が泣いた。17日は辞退が4校続出した。城郷、藤沢工科(いずれも神奈川)と松山工(愛媛)米子松蔭(鳥取)だ。

学校関係者1人の新型コロナウイルス感染が確認された米子松蔭は野球部に感染者、濃厚接触者がおらず、19日に一転して不戦敗から出場可能となり、この日の境戦でサヨナラ勝ちした。星稜は甲子園常連校で、今春県大会も4強入りしていた。松井秀喜、小松辰雄…。球史に残るスターを輩出した名門も、甲子園を目指す戦いの場から、断腸の思いで姿を消した。

○…星稜はこの日、同校のホームページに、6人の生徒の新型コロナウイルス感染症の陽性が確認されたことで、県から「集団感染」と発表されたことを掲載した。感染した生徒が所属する部の活動は当面の間、休止。その他の部活動は22日から25日まで活動休止する。また硬式野球部の第103回全国高校野球選手権石川大会の出場辞退も明らかにした。

▽星稜・鍋谷正二校長、林和成野球部監督(野球部員の新型コロナウイルス感染による出場辞退を受けて)「この事態を受け、残念ではございますが、本校野球部の県大会出場を辞退することとさせていただきました。甲子園大会出場に向け、野球部員が一丸となって日々鍛錬を続けていた姿を見てきた私たちにとりましては、苦渋の決断となりました」