長崎では人口5000人の大島から春夏連続甲子園を目指す大崎が鹿町工との準々決勝を3-1で制し、4強進出を決めた。背番号11の左腕、勝本晴彦投手(2年)が夏2戦目の先発で初完投。最速を134キロに更新したキレのある直球や、カットボール、スライダーで翻弄(ほんろう)し、5安打1失点にまとめた。

好きでよく聞く「ベリーグッドマン」の曲を聞いてマウンドへ。リズムよく、今春の県8強校を打ち取った。9回2死一塁。181センチの長身サウスポーは、最後の打者を三ゴロに打ち取ると、グラブをポンとたたいて笑顔をはじけさせた。

離島の長崎・五島市の出身。小さい頃から、自宅から歩いてすぐの防波堤などで釣りに興じ、イカ釣りを得意にする。「甲子園で投げていない分、夏勝つことを目標にやっている。県大会で優勝して甲子園に戻りたい」。センバツで登板機会がなかった17歳が、存在感を強烈にアピールした。

同じ左腕のソフトバンク和田毅投手(40)を手本にしている。「真っすぐのスピードは150キロを超えないけど、真っすぐで空振りが取れるイメージがある。力みがなく(腕が)しなっている」。投球術を学んで“大崎の和田”をイメージし、成長を目指す日々だ。

今夏初先発して7回1失点だった初戦の川棚戦で課題だったテンポとストライク先行を意識し、初回から飛ばした。最速も春から7キロアップの134キロを計測するなど球威も光った。ショートバウンドで空振りを取ったスライダーなど変化球のキレも抜群で、2度の2者連続など8奪三振。炎天下、最速143キロのエース右腕、坂本安司投手(3年)の温存にも貢献した。

清水央彦監督(50)も春からの成長を認め、「角度もあるし、真っすぐのキレとコントロールがいい」と目を細めた。坂本との2枚看板で、夏の甲子園を釣り上げる。【菊川光一】

◆勝本晴彦(かつもと・はるひこ)2004年(平16)5月14日、長崎県五島市生まれ。野球は福江小4から福江少年野球クラブで始める。福江中野球部で3年時に長崎県選抜全国大会出場。大崎では1年秋からベンチ入り。50メートル走7秒0。遠投90メートル。趣味は音楽を聞くこと。好きな食べ物はハンバーグ、嫌いな食べ物は梅干し。左投げ左打ち。181センチ、71キロ。