ノーシードから2年ぶりの夏の県王座奪還を狙う前橋育英が、春の県大会3回戦で3-10のコールド負けを喫した県太田に雪辱を果たし、決勝の舞台へ駒を進めた。

背番号「1」を背負う外丸東真(あづま)投手(3年)が投打にわたる活躍を見せた。1-1で迎えた2回無死一塁。カウント1-2からインコースの直球を捉え、中越え適時三塁打を放ち、勝ち越しに成功。4回にも左翼線へ二塁打を放つなど、2打数2安打1打点でチームを盛り上げた。

投げては「磨きをかけてきたボール」と自信を持つストレートを中心に、カーブやスライダー、チェンジアップなどを組み合わせ、連打を許さないピッチング。初回には自己最速を1キロ更新する144キロを投じるなど7回を4安打5奪三振、2回の1失点のみに抑えた。

外丸には意識する存在がいる。3番中堅の皆川岳飛(がくと)主将(3年)は、高校通算26本塁打、最速147キロを誇る二刀流。兄で中大エースの喬涼(きょうすけ)投手(4年)とともに今秋のドラフト候補に名を連ねる。「素晴らしい選手。追いつけるようにと頑張っています」と刺激を受けるが、「意識しすぎずに自分のピッチングをしたい」と、あくまで自分を貫く。

6度目の夏の甲子園出場まであと1つとした。外丸は「自分たちは常に挑戦者。あと1勝とかよりも、目の前の1戦1戦を戦っていくだけです」。春の敗退から一回りも二回りも大きくなったエースが、チームを聖地へけん引する。