第2シードの横浜創学館がノーシードの慶応を下し、08年以来、13年ぶり2度目の決勝進出を決めた。最速149キロのプロ注目右腕・山岸翠(あきら)投手(3年)が、12安打を浴びながらも2失点完投。ここまで三振を量産してきたサイドハンドが打たせて取る投球で慶応打線を封じた。28日に順延された決勝で、春夏を通じて初の甲子園出場をかけ、横浜と激突する。

9回2死一塁、最後の打者を左飛に仕留めたエースが、この日最後となるガッツポーズを繰り出した。「自分たちが向かっていく気持ちで絶対に逃げることなく、ぶつかる気持ちでやりたいと思いました。素直にうれしいです」と喜んだ。

ここまではキレのいい直球と2種類のスライダーを駆使し三振を増産したが、この日の奪三振は4つだけ。「強打者がそろう中で、三振は取れたらラッキーくらいな気持ちで。ガンガン振ってくるバッターだからこそ、ボールを動かしてゴロを増やしていこうと思いました」と冷静に振り返った。12安打を浴びながらも連打は許さず。「結局0点になればいいと考えてやってきたので。連打を打たれなければいいなと意識してきました。ヒットは3割の確率で打たれると思うので。残りの7割をどの場面で、どう取るかを考えていました」と、派手にガッツポーズを出す熱さに加え、クレバーな思考をのぞかせた。

28日の相手横浜は、前回決勝進出の08年と同じ相手となる。「横浜高校は強いですけど、チャレンジャーの気持ちで向かっていこうと。先輩方が残した記録を自分たちの代が乗り越えられるように頑張りたいと思います」。気持ちは熱く頭はクレバーに。山岸が新たな歴史を切り開く。【鈴木正章】