センバツ出場の北海はエース木村大成(3年)が147球完投で、北海道栄に6-5で競り勝ち、前回優勝の17年以来、4年ぶりの決勝進出。春夏連続甲子園にあと1勝とした。

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北海・木村が苦しみながらもチームを決勝戦に導いた。NPB7球団のスカウトが視察する中、10安打5失点の完投。日本ハム白井スカウトのスピードガンで最速145キロと、自己最速には5キロ及ばなかったが、体を張って147球を投げ抜いた。勝利の瞬間、笑顔はなし。ふっと強く息を吐き出し「まだゴールじゃない。喜ぶところじゃない」と強い口調で話した。

打って走って勝利を引き寄せた。同点の9回2死、左前打で出塁し、続く小原の右翼線二塁打と相手守備の乱れをつき一塁から激走。勝ち越しの生還を果たした。「三塁を回ったときにコーチャーに止められたが、ボールが転がっていたのが見えたので自分で判断した」。どうしてもほしかった1点のため、夢中で本塁を目指した。

投球面では3度追いつかれたが要所で粘り、3回以降は一度も勝ち越しを許さなかった。「センバツのときぐらい直球もスライダーも悪かった」。7回の投球から「上体が前に突っ込んでいたので」と左肩を下げて体のバランスを調整。9回1死二塁のピンチで、左ふくらはぎがつったが水を飲み体調を戻し、抑えきった。「(飲水で)間が取れて良かった。147球も足がつったのも今季初。修正しながら投げ切れたのは良かった」。

春夏連続甲子園まで、あと1勝。9回無死一塁では主将の宮下の好守に救われ「今日は野手に助けられた。次は自分がしっかり投げないと」。チーム全員で助け合い、もう1度、聖地に立つ。【永野高輔】

 

▽北海・平川敦監督(50) 木村はいいときも悪いときもある。一生懸命、最後まで投げてくれた。点を取られても、野手が辛抱強く取り返してくれた。

 

◆南北海道大会の札幌地区同士の決勝 59年の南北大会分離後は17年北海-東海大札幌以来、今回で通算13度目となる。北海は8度のうち7勝しており、現在5連勝中。分離前や中等学校優勝大会時代も含め16度で14勝を挙げている。

 

◆北海道勢の春夏連続甲子園 最新は13年北照で、9校(のべ19度)が達成している。南北海道勢では北海の7度(38、53、54、60、62、64、11年)が最多で、北照(10、13年)駒大苫小牧(03、05年)函館大有斗(74、97年)が2度。このほか52年函館西、72年苫小牧工、75年北海道日大(現北海道栄)、78年東海大四(現東海大札幌)が成し遂げている。北北海道勢では08年に駒大岩見沢が達成し、南北海道に属していた83年に続き2度目だった。