古豪・静岡商が白星発進した。エースの大橋建仁(けんと)投手(2年)が1失点完投。

1975年(昭50)以来、47年ぶりのセンバツ出場を目指す大事な初戦を制した。

エースの意地だった。5-1で迎えた9回。直前の8回に右足をつった大橋が、最終回も志願してマウンドに上がった。「東海大会、センバツにつながる県大会の大事な初戦。途中で降りる訳にいかなかった」。必死に右腕を振った。2死と追い込むと、最後は渾身(こんしん)の直球で投ゴロに仕留めた。

自ら試合を締めるラスト1プレーで足は再び悲鳴を上げ、そのまま担架で運ばれた。それでも、医務室では言葉が弾んだ。「今日は真っすぐで三振が取れた。最後まで押せたと思う」。キレのある直球を軸に、9回7安打1失点完投。108球の力投で、浜松開誠館打線の反撃を断った。

16日のチーム練習では、主力陣のふがいないプレーが続いた。2年だけの“緊急ミーティング”を開き、ベンチ外となった佐藤蓮投手の言葉が胸に刺さった。「泣きながら『お前たちに託す』と言われた。気持ちが入った」。悔しさを抑え、裏方として支える仲間の思いも球に込めた。

23日の3回戦は浜松西と対戦。大橋は「初戦勝利は通過点。次も投げます」と、頼もしかった。伝統校・静岡商のエースは、チームのために腕を振り続ける。【前田和哉】