上越は延長10回、3-2で長岡工を制し、3回戦進出を決めた。延長戦にもつれ込んだ接戦。エース近藤佑大(2年)が142球を投げ9安打、11奪三振で完投した。

集中力も、気持ちも切らさなかった。1点を勝ち越した直後の延長10回裏。マウンドの近藤佑は1死三塁の大ピンチを迎えても踏ん張った。4番打者を遊ゴロに打ち取り、あと1人。142球目、最後の打者を右飛で仕留め、勝利を決めた。小山真澄捕手(2年)は緊張の糸が切れたように目頭を押さえ顔をゆがめる一方、エースは笑顔を見せた。

1点を追う9回表の攻撃。1死一、三塁でスクイズのサインを小山が見逃した。敵失で同点とはしたが、続く2死二塁の勝ち越し機で近藤佑は右飛に倒れていた。嫌なムードの中での、その裏の守り。気持ちを切り替えたバッテリーは長岡工打線を3者凡退に抑え、流れは渡さなかった。延長10回表に押し出し死球で勝ち越し点をもぎ取り、最後の守りに就いていた。

エースが奪った三振は11。「(3回に)1失点し、これ以上、やらせない。気持ちで投げた」。4回からギアを上げ、直球とスライダーを織り交ぜながら丁寧にコースを突いた。8回に失点も最少失点でしのいだ。初めて背負った「1」。初の公式戦登板だった21日の1回戦、コールド勝ちした上越総合技術戦での7回96球完封の疲れも見せなかった。

「初戦は初の公式戦の実感があまりなかったが、今日はいいピッチングができた」。近藤佑はチームの柱となって投げきる覚悟だ。「苦しい状況の中でも崩れずに、投げきれたことに成長を感じた」と胸を張った。【飯嶋聡美】