「元気印」が流れを引き寄せた。能代松陽が大館鳳鳴を7回コールドで下し、2年ぶり10度目の東北大会出場を決めた。

「6番三塁」でフル出場した相沢海大(みひろ)内野手(2年)が2安打3打点1盗塁でチームを引っ張った。決勝は26日、大館桂桜と対戦する。

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相沢が攻撃で存在感を見せた。1点リードの3回1死満塁で迎えた第2打席。カウント2-1から迷わずバットを振り抜いた。「ピッチャーを助けようと思って甘く入ったボールを強く仕留めようと思った」。狙い球は直球。だが、高めに浮いた変化球を逃さなかった。打球は右翼手後方で弾み2人が生還。二塁上で声を出し腕を突き上げた。

躍動は終わらない。相手の野選で1点を追加し、なお一、三塁。そこで一走が挟まれランダウンプレーに。相沢はそこをすかさず「自分の判断で行った」と頭から滑り込み生還した。工藤明監督(45)も「ベンチでも『来い!』と声を出していたので、思い切りの良い判断だった」と好走塁を評価した。続く4回は中前適時打でダメ押しした。

今夏の初戦敗退が意識を変えるきっかけとなった。敗戦の原因は自分の失策と考え「自分のせいで負けた」と悔やんだ。新チームでは最上級生として引っ張る立場になり「自分がチームで一番声を出そうと思って元気を出して頑張ってきた」と明るく振る舞うことを心がけ、チームに活気をもたらした。

ここまで来たら、狙うは優勝だ。工藤監督は「新チーム発足から全県優勝を目標にしてきた。もう1回気を引き締めて最後の試合に臨みたい」と意気込んだ。この日、勝負強さを発揮した相沢は「常に声と元気を出してピッチャーを助けられるように頑張りたい」。元気いっぱいの全力プレーで、今日もチームに勝利を届ける。【相沢孔志】