初優勝を狙う花巻東(岩手1位)が「事実上の決勝戦」で快勝した。2連覇中の仙台育英(宮城1位)を8-2で破り、2年連続の4強を決めた。最速129キロの軟投派左腕、万谷大輝(2年)が、9回2失点で公式戦初完投。

八戸工大一(青森2位)は、大館桂桜(秋田2位)に5-2で勝利。エース右腕・広野風雅(2年)が9回2失点の完投勝ちで06年以来の4強入りに貢献した。聖光学院(福島1位)は、能代松陽(秋田1位)に5回コールドの13-1で完勝した。青森山田(青森1位)は、山形中央(山形3位)に4-3で接戦を制した。

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万谷が快投を見せた。6点リードで迎えた最終回。先頭を一飛、後続を二ゴロ、中飛とわずか10球で片付けると田代旭捕手(2年)とグータッチをし、4強入りをかみしめた。「仙台育英さんは打線がかなり強いので、3、4失点は覚悟していたが、自分的にはテンポよく投げることができてよかったです」。コールドでの完投は経験していたが、9回を1人で投げ抜いたのは初めてだった。

佐々木洋監督(46)からは「完投指令」が出ていた。完封目前の8回に2ランを浴びたものの、最後まで大崩れすることはなかった。直球の最速は129キロ。スピードボールはないが、チェンジアップを効果的に使い、スローカーブやスライダーで緩急をつけながら相手打線を幻惑した。

今秋からOBのマリナーズ菊池雄星やエンゼルス大谷翔平も背負った伝統のエース番号「1」を背負う。高校時代から速球派だった偉大な先輩とは投球スタイルが違うが「雄星さんや大谷さんを超せるようなピッチャーになりたいです」。エースの自覚も芽生えてきた。

「事実上の決勝戦」を制した。佐々木監督は「センバツに出たいという思い、大きなヤマ場という意識があった上で、去年も負けていたチームなので、選手たちは気持ちが入っていたと思います」。昨秋の準決勝で0-1で敗戦。この試合にかけるナインの思いは強かった。24日の準決勝は八戸工大一が相手。万谷は「自分たちはセンバツ、神宮に行くことが目標です」。決勝進出を決め、来春のセンバツ出場を当確させる。【山田愛斗】

〇…仙台育英は3連覇を逃し、センバツ出場が絶望的となった。最速142キロ左腕、斎藤蓉(よう)投手(2年)が6回途中8安打9四死球6失点(自責4)で、先発の役目を果たせなかった。「今日がヤマ場と思っていたが、力を発揮できず悔しい」。初回に1死三塁と先制機をつくるも、スクイズのサインを見落とすミスもあり、7回まで無得点。さらに四死球でリズムが狂い、須江航監督(38)は「負けて当然の試合。自滅というのはこういうことだと思います」と総括した。