大阪桐蔭(近畿・大阪)は、スーパー1年生の前田悠伍投手が6回10奪三振無失点の好救援をみせ、敦賀気比(北信越・福井)に逆転勝ちした。広陵(中国・広島)はプロ注目の森山陽一朗投手(2年)が6回3失点と力投し、明秀学園日立(関東・茨城)に競り勝った。慶大(東京6大学)はソフトバンク2位指名の正木智也外野手(4年=慶応)が先制ソロを放ち、東農大北海道オホーツク(北海道2連盟)に7回コールド勝ち。国学院大(東都大学)は仙台大(東北3連盟)に逆転勝ちした。

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1年生が連日の衝撃的な神宮デビューだ。大阪桐蔭に前田あり。全国にその名を知らしめた。1点を追う4回から救援した最速145キロ左腕は、先頭打者をスライダーで空振り三振に仕留めるなど9球で3者凡退だ。5回はチェンジアップで間合いを外し、速球をコーナーへ。3者連続三振でどよめかせた。

終盤の逆転猛攻を呼び込む快投だった。6イニングで2安打10奪三振の無失点。前日20日、花巻東(東北・岩手)の佐々木麟太郎内野手が右翼に高校通算48号本塁打を放ったばかり。前田は「ナマで見たことがない。対戦するときは同じ1年生で、絶対負けられない」とライバル宣言だ。ともに勝ち進めば決勝で激突する。

非凡さは足さばきに表れた。今春、神宮は土を替えて、プロも苦戦する。OBでDeNAドラフト2位の早大・徳山壮磨投手(22)が順応に苦労した情報も入手。この日の先発川原嗣貴投手(2年)も球が上ずり、3回4失点だったが、前田は難なく対応した。西谷浩一監督(52)も「マウンドが非常に硬いと聞いていた。前田はしっかり順応していた」と感心。今秋、安定感抜群の前田は言う。「まだ『のびのびと投げていけ』と話をされている。その段階ではダメ。もっと上を目指したい」。1年生左腕には、大黒柱の風格すら漂う。【酒井俊作】

<大会注目1年生>

◆花巻東・佐々木麟太郎、内野手(一塁)、183センチ、117キロ、右投げ左打ち

高校通算48本塁打。初戦は先制ソロ&2犠飛で3打点

◆九州国際大付・佐倉侠史朗、内野手(一塁)、182センチ、104キロ、右投げ左打ち

今秋九州大会で2試合連続本塁打を放った4番打者

◆広陵・真鍋慧、内野手(一塁)、189センチ、89キロ、右投げ左打ち

破壊力満点の「ボンズ」。初戦は単打3本の重ね打ち

◆日大三島・池口奏、内野手(一塁)、175センチ、75キロ、右投げ左打ち

パンチ力備える3番。静岡大会で2試合連続本塁打

◆大阪桐蔭・前田悠伍、投手179センチ、74キロ、左投げ左打ち

最速145キロ。小学生時代にオリックスジュニア選出

▽中日松永編成部長 バランスがいい。直球はまだまだ(球速が)出てくると思うけど、手元で速く、キレがあるので、打者はタイミングが取りづらい。変化球も緩急が、うまく使えている。順調に成長すれば、素晴らしい投手になれる。

▽巨人水野スカウト部長 いつも安定していて、ピッチングがうまい。コントロールもいい。まだ1年生。これから、ひと冬、ふた冬越えてどうなるか楽しみ。

▽大阪桐蔭・海老根(1回に左翼へ逆転3ラン)「甘く入ったスライダー。少し泳ぐくらいで、しっかりヘッドを抜くことができた」

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