今年もイチロー先生が、やってきた。マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(48)が29日、国学院久我山(東京)を訪問。約3時間半、部員たちと一緒に汗を流し、打撃や走塁の“極意”を伝えた。20年2月に高校生、大学生の指導に必要な学生野球資格を回復。同12月の智弁和歌山に続く高校野球指導。年内に、さらに2校を訪れる予定で、高校球児との触れ合いを続けていく。

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走り方について、質問を受けたイチロー氏は「まず真っすぐ走る。かかとを着く、つま先を着くのは次の段階」と答えた。腕の振り方についても「後ろに(大きく)振ると、1歩が長くなる。肩甲骨が動きだすと、1歩が大きくなる」と、後ろに大きく振ることが大事と強調。自ら走って実践もし「僕の足は内側に見える。外側に膝が回るときはロス。意識するだけで変わる。何日かでできることではないけど、考えないと永遠にできない」と、意識の大事さを訴えた。

リードの取り方についても力説。特に訴えたのは、跳びながら(シャッフルしながら)リードは取らない方がいいということだ。「走塁の打球判断は簡単にならない。いつも難しい。打撃、守備は簡単になることがあるけれど、走塁は簡単にならないよね。跳びながら(リード)するのと、止まってするのでは、止まっている方が簡単。シャッフルで顔を動かしていると難しい。シャッフルをして取った距離と変わらない」。

具体的な例として、日本シリーズ第6戦、ヤクルト・オスナが二塁走者時にシャッフルしてリードし、打者のバント空振りで戻れずアウトになった場面を挙げた。「僕は長く(現役を)やっていたけど、走塁だけは簡単にならない。動いていると(判断が)難しい。できるだけ静かにリードを取る。やりたがらない理由が見つからないプレー」と話した。