出会いもあれば、別れもある。昨春センバツ8強の仙台育英(宮城)の卒業式が27日、多賀城市内にある校舎で行われ、硬式野球部の3年生31人が巣立った。島貫丞(じょう)前主将は教師の夢を胸に、日体大で新たな1歩を踏み出す。

人生に1度限りの門出を迎えた。コロナ禍の影響で式典は自粛。各教室で卒業証書を受け取った。午後は室内練習場で約1カ月ぶりに仲間と再会。思い出話に花が咲き、高校最後のひとときを楽しんだ。島貫は「久しぶりにみんなで集まることができた。高校の仲間とはこれからもつながっていきたい」。別々の進路に進んでも、3年間の苦楽をともにし芽生えた結束は揺るがない。

チームの誰もが島貫に信頼を置いた。須江航監督(38)も「根っからのキャプテンシーを持っている」と認める存在。センバツでは選手宣誓の大役を務め、東日本大震災から10年の被災地・宮城からの発信に大きな注目が集まる中、記憶に残る3分12秒の宣誓を披露した。「(選手宣誓は)一番印象に残っている。高校生活の3年間は中身が濃すぎて、あっという間の感覚ではなくて、10年間くらいの密度だった」と振り返った。

将来の夢は教師だ。「須江先生に指導してもらって、自分の目指す場所が見つかった。『自分が教師になりたい』と夢を与えてくれるような人(須江監督)に初めて会えた。自分も子どもたちに、夢を与えられる教師になりたい」と思いを語った。系列の秀光中から6年間過ごした学びやを飛び立ち、恩師の背中を追いかける。【佐藤究】