大谷先輩に並んだ! 今春のセンバツに出場する怪物1年生スラッガー、花巻東(岩手)・佐々木麟太郎内野手(1年)が16日、高校通算本塁打を56本に伸ばした。ダブルヘッダーで2本を積み重ね、同校OBのエンゼルス大谷翔平投手(27)が在籍時にマークした高校通算本塁打数に並んだ。第94回選抜高校野球大会は18日に開幕。甲子園での「大谷超え」も視野に入ってきた。

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尊敬する大谷先輩に、1歩近づいた。佐々木麟は神戸市内のグラウンドで育英(兵庫)とのダブルヘッダーに出場。1試合目は5回2死一、二塁からフォークをすくい上げ、大きな放物線を描きながらバックスクリーンに運ぶ3ランを放った。続く2試合目では3回、直球を捉え右越えソロ。2試合連続本塁打で通算56号まで積み上げ、センバツ前の練習試合を締めた。

昨年12月に受けた両肩の「胸郭出口症候群」の手術からの復活、さらに進化を証明した。練習試合解禁となった5日から12日間で6発をマーク。進化を見せたのは9日、履正社(大阪)との練習試合。52本目の本塁打は右翼ネットを高々と越え、グラウンド後方にある幹線道路まで飛んだ。

フルスイングで捉えた推定飛距離は約140メートル。リハビリの間、地道なトレーニングで蓄えたパワーを飛距離で見せつけた。履正社関係者は「すごい当たりだった。履正社で一番の飛距離は(オリックス)T-岡田だったけど、Tの高校時代よりも飛んでいる」と度肝を抜かれた。

佐々木麟は、小さいころから、大谷の背中を追いかけた。「大谷選手のプレーを見て花巻東に入学しようと思いました」。はるか遠い存在のスター選手も、同じ環境に身を置けば、身近に感じられた。

「野球だけでなく、人としても高校のときから素晴らしいと聞いています。尊敬できる方。見習わなければならない」。私生活から手本にしては「翔平さんが活躍しているからこそ、もっとやらなければ」と奮い立たせた。「1歩でも近づきたい。でも、すべての面で世界トップの方。まだまだ届くところじゃないです」。大谷と本塁打数で肩を並べてもなお、高みを見つめている。

高校入学から1年足らずで、驚異的なペースで本塁打を量産する。初戦は22日の市和歌山戦。自身は初めて乗り込む甲子園の大舞台で、「大谷超え」に挑む。【保坂淑子】