第94回選抜高校野球大会が19日、甲子園で幕を開けた。開幕戦に登場した浦和学院(埼玉)は、エース宮城誇南(こなん)投手(3年)が、2安打無失点で9回を投げきり白星発進。開幕戦で13三振を奪って完封勝利は史上7人目の快挙となった。バッテリーを組む高山維月捕手(3年)は大会第1号となる2ランを放って援護。投打がかみあい、昨秋から指揮をとる森大監督(31)に甲子園初勝利を贈った。

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背番号「1」のエースが、たくましくなって聖地に戻ってきた。宮城は9回2死、カウント0-2から、高山が構えた外角低めのミットに吸い込まれるような真っすぐで最後の打者を3球三振。8回から4者連続Kで試合を締めた。きれいなスピンのかかった直球と、キレのあるスライダーを中心に組み立て、117球で完封。「力まずにバランスを意識して投げた。緩急が使えたのがよかった」とうなずいた。

人気アニメ「名探偵コナン」の主人公ならぬ「名投手コナン」の誕生だ。沖縄・読谷村の出身。ゴーヤーは苦手だが「あったかくて、過ごしやすい」と地元が大好き。両親の「沖縄に生まれたことに感謝して、沖縄を発信する子になってほしい」という願いと、母・千晶さん(43)が好きな「名探偵コナン」にもちなんで名付けられた3人きょうだいの長男。今春から高校生になる次男・志琉(しりゅう)さん、中学生の長女・美来(ちゅら)さんと、沖縄らしい名前が続く。

千晶さんが小学生時代にプレーしていた喜名キングで誇南も育った。アルプスから観戦した千晶さんは「私が憧れていた甲子園に連れてきてもらった。『お母さんの夢は、僕の通過点だから』と言ってくれていた」と目を細めた。

昨夏の甲子園では、2年生ながら背番号1を背負った。初戦の日大山形戦に4番手として登板。1回2/3を無失点に抑えたが、エースとしては不完全燃焼だった。試合後、誇南は千晶さんへ「もっとマウンドに立っていたかった」と悔しさを明かした。そこから、ひと冬で体重は3キロ増の74キロ。直球の威力が増した手応えもあり「夏の悔しさを持ってこの冬やってきて、勝ちにつなげられてよかった」と成長した姿を見せた。見据えるのは全国制覇。目指す先は、いつも1つ!【保坂恭子】

◆宮城誇南(みやぎ・こなん)2004年(平16)9月5日生まれ。沖縄県読谷村出身。読谷ボーイズから、親元を離れて浦和学院に進学。好きな選手はロッテ小島とオリックス宮城。最速142キロ。好きな言葉は「なんくるないさぁ」。特技は、陸上と整理整頓。50メートル6秒1。遠投100メートル。173センチ、73キロ。左投げ左打ち。

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