新型コロナウイルスの影響をいまだに受けながら、第94回選抜高校野球大会(甲子園)は3月31日、大阪桐蔭が歴史的な圧勝で4年ぶり4度目の頂点に立ち、幕を閉じた。まん延防止等重点措置が終わり、入場制限もなくなった甲子園には、ブラスバンドの生演奏も帰ってきた。

大阪桐蔭は昨秋の大阪大会から神宮大会、そしてセンバツと負けなしの20連勝。横浜の元監督、渡辺元智氏(77)は、その強さを「全部勝ちたい、という目的を持ってやっているチーム。どうやって、ここ(甲子園)で力を出せるか、気持ちが強い選手が多い」と見る。

4強は東西2校ずつが入ったが、決勝は近畿勢対決。昨夏甲子園の智弁和歌山に続き、近畿勢が優勝した。関東勢は、昨春は東海大相模(神奈川)が制したが、夏は4強に入れなかった。“西高東低”の様相が続いている状況だ。渡辺氏は「(東西の差が)出てきていますね。打撃の質が違う。僕も見て勉強になりました」と明かした。

2回戦の広島商戦が不戦勝となり試合数は減ったにもかかわらず、大阪桐蔭は今大会11本塁打を放った。その打撃について「頭が動かない。内角も普通ならよけちゃうけど動かない。軸の回転で打つから、ぎりぎりまでボールを見ることができる。それができていて、スイングが速い」。徹底された隙のない打撃フォームが、チームの軸となっている。

常勝軍団・大阪桐蔭に追いつこうとしているのは、近畿勢だけではない。浦和学院、国学院久我山はともに31歳の若き指揮官が率いて4強入りし、存在感を見せた。大阪桐蔭超えを、全国の高校が目指している時代。甲子園で5度の優勝を誇る渡辺氏は「全国的に見て、レベルが上がっていく可能性は十分にある。見方を変えれば、つながっていく」と高校野球の未来を予想した。【保坂恭子】