春から無双する。プロ注目の最速149キロ右腕、盛岡中央(岩手)の斎藤響介投手(3年)が、今季初陣を迎える。29日に春季岩手県大会の地区予選が開幕。同校は30日の盛岡地区予選1回戦で盛岡南と対戦する。2連勝すれば最短で5月20日に幕を開ける県大会出場が決定。エースとして勝利に導くだけでなく、150キロ台到達や完全試合、ノーヒットノーランの高みを目指して右腕を振る。

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数々の怪物を輩出してきた岩手に新星がいる。最速149キロを誇る盛岡中央のエース斎藤だ。まだまだ全国的に無名の存在だが、春季大会での大ブレークを予感させる。「岩手県で1番を取りたいのと、個人の目標としては完全試合やノーヒットノーランをやってみたいです」。大台到達にも意欲をみせ「夏の大会までには150キロ台に乗せたいです」と力を込める。

同じ岩手出身のロッテ佐々木朗希投手(20)が、10日のオリックス戦で完全試合を達成した。「105球と少ない球数で、三振を取れている中での完全試合だったので、僕もストライク先行を意識したいです」。YouTubeで試合のハイライト映像をチェックし、イメージを膨らませた。

中学は軟式野球部で最速は135キロだった。高校入学直後は硬式球に変わったこともあり、120キロ台半ばまで球速が落ちた。「少しずつ硬式球にも慣れ、試合に出たい気持ちも強くなり、体幹や下半身を鍛えたりして球速が上がりました」。ワインドアップからセットポジションへのフォーム変更も奏功し、高1冬には143キロを計測した。

2年生ながら昨夏は背番号「1」をつけた。敗退した準々決勝まで4試合に登板。3完投(1完封)で防御率1・84、奪三振率10・74と堂々の数字を残し、自己最速の149キロもマークした。昨秋は学校内で新型コロナウイルス陽性者が複数人出て、野球部の感染者、濃厚接触者は0人だったものの、休校措置が取られた影響で県大会1回戦は不戦敗に。悔しさもある中で今冬は食トレに注力。太りにくい体質だが、体重は秋から5キロ増の72キロとした。

久々の公式戦へ気合十分だ。「強豪の花巻東さんや盛岡大付属さんとやりたいです」と熱望。花巻東の2年生スラッガー、佐々木麟太郎内野手については「有名なので三振を取ってみたいです」。盛岡中央は99年夏の初出場以来、聖地から遠ざかっている。「テレビで見るのは悔しいので、自分で甲子園の舞台に立ちたい気持ちは強いです」。まずは春の真剣勝負の場で爪痕を残す。【山田愛斗】

◆斎藤響介(さいとう・きょうすけ)2004年(平16)11月18日生まれ、岩手県滝沢市出身。滝沢小3年時に竹の子スポーツ少年団で野球を始め、滝沢中で軟式野球部。盛岡中央では1年夏からベンチ入り。憧れの投手はオリックス山本由伸、ヤクルト奥川恭伸。家族は両親と姉。177センチ、72キロ。右投げ右打ち。