ソフトバンク小久保2軍監督を伯父に持つ明秀学園日立(茨城1位)の小久保快栄(かいえい)内野手(3年)が4安打をマークしたが、浦和学院(埼玉)に敗戦した。

初回2死一、二塁で、追い込まれてからの外角のチェンジアップを右前に運び先制点を奪った。3、5回も得点に絡む左前打。9回にも、1死から外角のスライダーを右中間へ運び、二塁へヘッドスライディング。次打者、猪俣の中越え適時三塁打で、ホームを踏んだ。

小久保は県大会、打撃が振るわず準決勝の水戸商戦の後、涙をこぼした。「自分でもどうしたらいいかわからない時期がずっと続いて…。みんなに支えてもらいながら立ち直ることができました」。寮で同じ部屋の佐藤光成外野手(3年)からは優しく声をかけられ、県大会決勝戦でも、無言で背中をたたいてくれた。「言葉はなくても、気持ちが伝わってきた。おかげで気持ちを切り替えられました」。

県大会が終わると、金沢成奉監督(55)のアドバイスで、重心が捕手側の右足にある打撃フォームから、投手側の左足を軸にバットを振る形に改造。「左腰がスライドする癖がなくなり、感覚も良くなりました。今は自信をもって打席に立てています」と、公式戦初の5番に座り、4安打につなげた。それでも、試合は敗戦。「今は悔しい気持ちでいっぱいです」と目に涙をためた。

父・隆也さん(48)は智弁和歌山で2回甲子園に出場している。「父からはセンバツ後、『夏も(甲子園に)行って欲しい』と言われた。父は夏の甲子園に出ていないので、絶対に行きたいです」と、力強く誓った。甲子園4強と接戦を演じた。その自信を胸に、夏に向かう。【保坂淑子】