昨夏の甲子園優勝校の智弁和歌山が、今春センバツ優勝校で公式戦29連勝中だった大阪桐蔭に勝ち、06年以来、16年ぶり3度目の春近畿優勝を果たした。

阪神、巨人などでプレーした中谷仁監督(43)による、打者の目先を変える4投手の継投が的中。プロ注目で最速148キロの武元一輝投手(3年)も好救援で貢献した。大阪桐蔭は9安打2点止まり。再三、得点圏に走者を送ったが決定打が出ず、新チーム結成後、初黒星を喫した。

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大阪桐蔭が負けた。智弁和歌山の術中にハマってしまった。左右左右…。自慢の強力打線が4投手の継投に空回り。1点を追う9回1死二塁も、剛腕武元に封じられた。公式戦29連勝で止まり、タオルで顔を覆うなどナインはうなだれた。

西谷浩一監督(52)は「智弁和歌山さんからしたらこういう試合をしたい。はね返せなかった。どんな投手でも、もっといろんな攻撃をできないといけない」と振り返った。1回から後手に回った。前田悠伍投手(2年)が先頭打者弾を浴び、遊撃のダブルエラーも響き、3点を先制された。

すぐ反撃し、3回で1点差に迫った。シナリオが狂ったのは4回だ。相手は右上手投手に継投。星子天真主将(3年)は「1人1人の投手の力があった。なかなか仕留めきれなかった」と肩を落とす。球筋に慣れたころに投手交代…。センバツで大会新の11本塁打を放った攻撃が封じられた。

今大会は28日に対戦した近江(滋賀)の山田陽翔投手(3年)など、140キロ中盤の球威と精度の高い変化球を持つ一線級投手を攻めきれなかった。星子が屈辱を「初めての経験。もう負けられない」と言えば、名将も「負けから学ぶこともたくさんある。この負けをしっかり持って夏に入りたい」と話す。悔しさを糧に夏に挑む。【酒井俊作】

▽大阪桐蔭・松尾(1回に中越え適時二塁打、3回に右翼線二塁打も敗戦で) 自分たちの力不足をこの大会で感じた。打てるときに打てないのは、自分たちの実力不足。守備のミスもまだまだ出ている。