札幌第一が北照を下し、18年以来4年ぶり3度目の優勝を飾った。先発した背番号3の左腕渥美嘉成投手(3年)が8回2/3 132球を投げ3失点(自責2)と踏ん張り、打っても2回に先制適時打を放つなど、投打で勝利に貢献した。チームは今大会、延長戦での死闘や雨天順延を乗り越え、過去の全道決勝で1勝5敗と黒星先行だった相手を破り頂点に立った。

札幌第一が総力で勝利をつかみ取った。先発の渥美は完投目前の8回2/3を投げ、3失点にまとめた。4年ぶりの春全道制覇に「ほっとしています。1つ1つ落ち着いていこうと意識してできた。守備にも助けてもらった」。打っては2回1死一、二塁で左前に先制適時打を放つ活躍。9回2死から一塁に回り、最後の打者の投ゴロ送球を捕球し、勝利を決めた瞬間、左手でガッツポーズを作って喜んだ。

地区大会前、菊池雄人監督(49)から「ミスは起こるものだから、引きずらないことが大事」と諭されていた選手たちはグラウンドで声をかけ続けた。7点リードの5回1死から渥美が2連続四球を与えたところで疋田悠真捕手(3年)がマウンドへ。1死満塁で暴投から1点を失った直後には田中佑弥主将(3年)が「ピンチになった時、1人にしないように」と渥美のもとへ駆け寄り、励ました。

今大会は死闘を乗り切るなど我慢を重ね頂点に立った。準々決勝で今春センバツ出場のクラークを延長11回の末撃破。28日に予定していた準決勝は雨で順延。29日の準決勝ではプロ注目右腕斉藤優汰投手(3年)擁する苫小牧中央との延長13回タイブレークをサヨナラで制した。4試合で失策は9個。この日も2失策こそあったが、チーム全員でカバーし、勝利につなげた。

北照とはこれまで全道大会決勝で過去6度対戦。09年夏に勝利しているが、1勝5敗と黒星が先行していた。菊池監督は「ライバル校と切磋琢磨(せっさたくま)しながら今日がある。伝統をつないでくれたと思う」と話した。次に目指すのは、10年ぶりの夏甲子園。渥美は「気を緩めることなく、もう1回夏に優勝できるように明日からまた練習していきます」と気持ちを高めた。【山崎純一】

○9回2死から公式戦初登板し試合を締めた札幌第一の阿部拓貴投手(1年) 先輩たちに「頑張ってこい」と励まされ心強かった。緊張したが最後のアウトを取れて良かった。

○3安打1打点の札幌第一・村上広(こう)二塁手(3年) (前日準決勝のサヨナラ打から4打数連続安打に)1打席目は自分のスイングができたが、それ以外は気持ちで打った。

○渥美の粘投を引き出した札幌第一・疋田 前の試合が延長戦だったが、疲れはなかった。ミスはあったが、チーム全員で守ろうという姿勢が勝利につながった。

◆全道大会決勝での札幌第一対北照 今大会が7度目の対戦で、札幌第一が2勝5敗とした。初対決は91年夏の南北海道大会で、4-1で制した北照が春夏通じて初の甲子園切符をつかんだ。札幌第一は09年夏(8-4)以来の勝利。