第104回全国高校野球選手権新潟大会が7月9日に開幕する。甲子園を目指し、71チーム(81校)が熱戦を繰り広げる。日刊スポーツ新潟版では注目選手を紹介していく。第1回は帝京長岡の茨木佑太投手(1年)。兄はプロ注目のエース秀俊(3年)。兄の背中を見ながら急成長を遂げている本格派右腕は、この夏の“秘密兵器”だ。兄と力を合わせて初の甲子園出場を目標にしている。

粗削りながらダイナミックなフォームで思い切り右腕を振る。187センチ、85キロの恵まれた体格を生かして佑太はマウンドに立つ。「夏までの課題は制球力をもっとつけること」。投球練習ではコーナーを意識し球威のある直球を投げ込む。

入学直後の球速は130キロ。春はベンチ外も、「兄の最初よりも速い」と芝草宇宙監督(52)は期待を込めて背番号「11」を送り、夏のベンチ入り20人に登録した。練習試合では5回が最長投球イニングだが「勝負根性がある。試合を作れる」と評価。「秀俊の前後に投げさせる考えもある」と兄弟リレーのプランも明かした。

佑太も望むところだ。「兄と一緒に甲子園に行く」。秀俊とは別の寮に住んでいるため、普段の会話はあまりない。ただ、投手陣の練習ではアドバイスを受ける。「体作りをするように」。入学して最初に受けた指摘を忘れずに、筋トレなどに励んできた。

小、中学は同じチームでともにエースだった。「自分も帝京長岡で成長したいと思った」。兄の背中を追って北海道から新潟にやってきた。プロのスカウト陣の「茨木詣で」を目の当たりにし、兄の実力を改めて感じた。同時に「一番、身近なライバル」と対抗心を持つ。正月に秀俊が帰省した際、練習への取り組み方やエースとして自覚を話す姿が刺激になった。兄以上の熱さで3年間過ごす決意をした。

この夏、高校デビューと勝利への貢献が最初のテーマ。芝草監督に「順調に育ったらどんな投手になるのかワクワクする」と言わせる大器。「少しでも長く兄と野球をやりたい」。高校ではともに過ごす最初で最後の夏、マウンドに上がる日を楽しみに待つ。【斎藤慎一郎】

◆茨木佑太(いばらぎ・ゆうた)2006年(平18)5月9日生まれ、北海道出身。手稲中央小1年から手稲ヤングスターズで野球を始めた。手稲中では少年硬式野球の札幌東シニアに所属。3年時に東日本選抜大会に出場した。憧れのプロ野球選手はエンゼルス大谷翔平。187センチ、85キロ。右投げ右打ち。