苫小牧東の主将前川統(3年)の最後の夏は、目標に手が届かなかった。父である前川護監督(44)とともに目指していた南大会出場は果たせずに終わった。「小学校の時からそういう話をしてきた。高校に入って、それが厳しい道だというのはよくわかったけど、それでも目標はつかみたかった。悔しいです」と涙した。

1年夏からベンチ入り。父にはほかの選手よりも厳しくされてきた。「主将であり捕手でもあったので『お前が甘えたら、チームがゆるむ。率先して引っ張っていかなきゃいけないよ』と言われてきた」。最後まで全力でプレーした息子を見た父も試合後、目を潤ませていた。父へ向け「これまで支えてくれてたので、これからもお世話になるけど、今はまず感謝を伝えたい」と思いを口にした。

昨夏、9番捕手で先発した地区代表決定戦で延長13回タイブレークの末、0-1で苫小牧中央に敗戦。リベンジとはならなかったが、つめあとはしっかりと残した。1点を追う8回2死一塁で、プロ注目の右腕斉藤から右前打を放った。卒業後は大学への進学を希望しており、野球も続けていく予定だ。「人から感謝される存在に」と、高校野球で培った力を今後の人生に生かしていく。【山崎純一】