日刊スポーツ高校野球特集「ピカイチ」連載が、4年ぶりに復活!この夏、担当記者が推す全国のキラリと光る選手を、全4回で紹介する。「ピカイチ投手編」からスタート。桐蔭学園(神奈川)のエース山口凱矢投手(3年)は、練習試合で最速150キロをマークし、注目度が急上昇中の本格派右腕。夏は99年以来23年ぶりの激戦区神奈川制覇へ、腕を振る。

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23年ぶりの夏甲子園出場を目指す桐蔭学園には、最速150キロ右腕・エース山口がいる。今春の県大会は、東海大相模との準々決勝で完投勝利を収めるなど、準優勝に貢献。力強い速球、得意の縦に落ちるスライダーを低めに集める投球術で、同校を9年ぶりの関東大会出場に導いた。

急激な球速アップで変貌を遂げた。5月28日の練習試合で、それまでの自己最速を4キロ更新して大台に到達。ポイントは腕の振りにある。「リリースの高さを上げました。前で放すというより、頭の上で投げる意識に」。角度を付け、低めに投げる感覚を磨いた。すると、「力を入れなくても、真っすぐの球速が出るようになりました」。みるみる球速が上がった。

昨夏の悔しい思いも、成長の糧になった。2年生ながらエースを担ったが、初戦の慶応戦で7回途中4失点で敗戦投手に。片桐健一監督(48)は「山口は負けを知っている投手です。そういった部分が、彼を成長させているのかもしれない」と、最後の夏に期待している。

神奈川は9日に開幕。初戦は13日に伊勢原-平塚農商の勝者と対戦する。4回戦まで進めば、慶応と再戦となる可能性がある。山口は「自分の中でも因縁がある相手だと思っています」。今春は3回戦で当たり5-4で勝っているが、悔しさは晴れていない。「春は勝ちましたけど、去年の夏は負けている。夏で勝ちたいです」と力を込めた。リベンジの先は、神奈川170校の頂点へ。150キロ右腕がけん引する。【阿部泰斉】

◆山口凱矢(やまぐち・がいや)2004年(平16)4月10日生まれ。静岡県伊豆市出身。5歳時、修善寺南クラブで野球を始める。修善寺中時代は静岡裾野シニアに所属。中2の夏で全国大会優勝を果たす。桐蔭学園では1年秋から「背番号1」でベンチ入り。球種は縦スライダー、カーブ、チェンジアップ。目標とする選手は山本由伸。チーム内ではいじられキャラ。好きな有名人は出川哲朗。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。

○…東海大菅生(西東京)の最速148キロ右腕・鈴木泰成投手(3年)が、昨年12月の右肘手術から復活。5月に実戦復帰すると、6月中旬の練習試合で今春センバツ王者の大阪桐蔭を5回4奪三振で無失点に抑えた。復帰後初先発で快投も「狙ったところより、ボール1個分高い」と反省を忘れない。「秋と春はチームに迷惑をかけた。夏は自分が日本一に導きたい」。帰ってきたエースの決意は固い。