シード筑陽学園が苦しみながらも初戦を突破した。

プロ注目の最速145キロ右腕、木口永翔投手(3年)が不安定な立ち上がりで、2回に打者一巡で3点を失った。

だが、広島長野、日本ハム谷川らを育て、今夏限りで勇退する江口祐司監督(59)のために意地を見せた。3回、4番小森崚太内野手(3年)の左中間適時三塁打など4連打で3点を返して同点。勢いのまま、4回には、3番矢野智也内野手(3年)の2点本塁打が飛び出すなど一気に4点を勝ち越した。この日4安打2打点の活躍を見せた矢野は「木口にはいつも助けてもらっている。勝つためには野手が助けてやることも必要だと思っています」と振り返った。

打線の援護をもらった木口は3回以降、不調ながら粘って無失点投球を続けた。8回に暴投などで2失点し、結果的には9回5失点の内容だったが「初回は緊張したけど、後半はリラックスできたと思います」と肩の荷を降ろした。

江口監督は「選手に申し訳ない。僕が最後だから、動きも固かった。3点を取られたけど、そのあとは落ち着いていけましたね」と話した。今の3年生には、入学した時から「最後の代になる。一緒に卒業するぞ」と、退任することを表明していたという。3年生部員の多くは、江口監督が担任の教師。矢野は「意識しなくていいと言われているけど、懸けてる思いはあると思う。チーム一丸となって頑張ります」と、19年以来3年ぶりの夏制覇へ意気込んだ。