昨夏の兵庫大会準優勝校の関西学院が初戦で敗れた。90年から関西学院を率いてきた広岡正信監督(68)は今夏限りで勇退するため、36年の監督生活で最後の試合になった。

同監督の報徳学園(兵庫)時代の教え子で大阪桐蔭・西谷浩一監督(52)が、恩師への感謝を明かした。高校2年時に広岡監督が就任。「スパルタ指導が当たり前だった時代で、ぼくはほめられた経験なんてなかったんです。でも広岡監督は、打撃練習をしていたら『よくなったなあ』と声をかけてくださった。ほめることで、選手の眠っている力を引き出してくださいました」。3年春に下級生が不祥事を起こし、同年夏の兵庫大会を辞退。戦わずして高校最後の夏を終えたとき「このままやめては絶対にいけない」と関大進学への進路を示してくれた。大学で野球を続け、教員、指導者に。甲子園春夏61勝の名将への道は、そこから始まった。