日本学生野球協会は15日、都内で審査室会議を開き、高校9件の処分を決めた。

【1.仙台工(軟式)(宮城)】

副部長(50代)が脅迫で謹慎3カ月。

19年7月と20年3月の2度にわたり、元同僚の自宅に「ぶっ殺してやりたい」という内容のはがきを郵送した。今年3月に脅迫の疑いで逮捕され、略式起訴で罰金に処せられた。仙台市教育委員会の処分も受けた。

【2.八代工(熊本)】

監督(20代)が暴言(部内)で謹慎1カ月。

今年6月の練習中、1年生部員が落球した様子が動物に似ているとして、その動物の名前を発した。別の1年生部員に対しても、うまくプレーできなかったことについて「気持ち悪い。死ねばいいのに」と発言。1年生部員の保護者を名乗る人から当該校に連絡が入り、当該校が監督に事情を聴き判明した。県教育委員会が運営する、いじめ匿名投稿サイトにも同様の記述があった。

【3.帝京長岡(新潟)】

コーチ(20代)が報告遅れで謹慎3カ月。

今年3月の休み時間に、2年生部員Aから「野球部をやめたい」と相談を受けた。理由を尋ねると「同級生の野球部員Bから厳しく叱責(しっせき)を受け、精神的苦痛を感じている」と回答。同コーチはBを呼び、聞き取りの上、指導した。その際、Bからは「自分とAは総合格闘技が好きなので、スパーリングのまね事をした。つい冗談でちょっかいをだした」とあった。その後しばらくは落ち着いていたが、同コーチが4月中旬に指導から外れて以降、徐々にBからAに対する叱責(しっせき)が再開し、トラブルに及んだ。学校が調査するに至り、明らかになった。コーチは野球部長や学校管理職に報告していなかった。

【4.五所川原商(青森)】

監督(40代)が暴言(部内)で謹慎6カ月。

今年6月のミーティングの際、夏の大会に向けて部員に対し、しっかり食べて体を大きくする体づくりが大事という趣旨の指導をした。その際、女子マネジャーに対し、身体や容姿に関する発言をした。女子マネジャーは監督の発言に大変傷つき、帰宅後、保護者に報告。保護者が翌日、学校を訪れ、学校が事実確認し、暴言が発覚した。当該校が他の部員にもアンケートで聞き取りを行った結果、野球部員に対して「お前らは要らない。グラウンドから出て行け。帰れよ」と暴言を発し、部員の多くが暴言を辞めて欲しいと訴えた。女子マネジャーは登校はしているが、野球部の活動に参加できていない状況。

【5.呉港(広島)】

コーチ(30代)が体罰(部内)で謹慎1カ月。

同コーチは野球部寮の舎監を務めており、今年6月に各部屋のエアコンの設定温度を見て回った。学校からは24℃以上で使用するよう指導していたが、3年生部員Aと1年生部員Bの設定温度が16℃になっていた。2人を呼び事情を確認した際、口頭で説諭したが、Aが不服そうな態度をとったため、Aの胸を右手で1回小突き、ほおを左手で1回殴った。コーチは、すぐに野球部長に報告した。

【6.高岡(富山)】

監督(50代)が体罰(部内)および報告義務違反で謹慎2カ月。

今年6月の練習試合で2年生部員Aの試合中の態度について、攻守交代時に口頭で注意した。しかし、Aが指導に従わなかったため、試合から外れるよう指示した。このことにAは不満を持ち、ベンチ裏で自分のヘルメット、野球道具を床に投げつけた。これを見た監督はAを叱責(しっせき)しながら、Aの鎖骨付近を両手で押し、2回、揺さぶった。2日後、外部から当該校に連絡が入り、管理職が監督に事情を聴き、判明した。

【7.鳥取城北】

顧問(40代)が体罰(部内)で謹慎1カ月。

今年6月、野球部寮の踊り場付近でボクシンググラブをつけ、上半身裸でふざけている1年生部員2人、取り巻いて騒ぐ1年生部員5人を目撃した。翌日の定期考査に備え自室で学習すること、またコロナ禍での感染予防対策を徹底することなど、直前の部長からのミーティング内容を踏まえ、1年生たちの態度がそれに反すると強い口調で姿勢をただすとともに、7人全員のほおを押すように1発ずつたたいた。暴言(アホ、バカなど)は一切なく、「ミーティングしているのに何しているのだ」という強い口調だった。寮は換気で窓を開けていたため、強い口調が近隣住民に届き、それを聞いた近隣住民が寮内の部員同士のけんかと推測し警察に通報した。駆けつけた警察官が顧問などに事情を聴取し、判明した。

【8.市和歌山】

部長(30代)が報告遅れで謹慎3カ月。

野球部保護者会会長および同副会長が今年5月に当該校に赴き、野球部副部長2人に対し、今年1月中旬に起きた当時2年生部員と1年生部員のトラブルについて報告した。その際、保護者会会長は「トラブルは当該部員および保護者間で既に解決しているため、野球部の指導者には見守って欲しい」旨、要望した。翌日、野球部部長は副部長2人から報告を受け、自ら保護者会会長に直接連絡をとった。保護者会会長は同部長に対し、同様の事を話し「見守って欲しい」と要望した。部長は要望を踏まえ、既にトラブル発生からかなり時間が経過していること、当該部員たちが良好な関係を築いていることから、当該校管理職および和歌山県高野連への報告を怠った。6月、この件について日本高野連に対し、当該校野球部員保護者を名乗る人から連絡が入り、県高野連を通じ事実確認して発覚した。

【9.今治明徳(愛媛)】

部長(30代)が報告遅れで謹慎3カ月。

今年6月、匿名で愛媛県高野連に対し、当該校の野球部員が喫煙をしているという内容の文書と写真が届いた。このため、県高野連が当該校に事実確認した。当該校からの回答は、実は当該校へも今年3月10日に喫煙している内容の写真が送られており、照らし合わせると、県高野連に届いた写真と当該校に送付された写真は同一のものであり、写っているのは当時2年生だった部員Aが令和3年11月に駅近くの公園で喫煙していたということが分かった。当該校は、3月10日にその写真が送られてきてから調べをして、写真に写っていた部員Aに対し、当該校での通常の指導を行った。その旨を愛媛県高野連に回答。しかし、Aは3月6日に野球部を退部しており、県高野連に部員抹消届を提出している。3月10日に学校へ写真が送付された折、Aは既に野球部員ではなかったため、同部長は県高野連へ報告することは必要ないと判断し、放置していた。しかしながら、不祥事件が起きた時点で部員であれば、責任を問われる。写真で判明した時点で部員でなくても、喫煙した時点で部員だったので報告が必要だった。