熊本大会では、2回戦の球磨工-熊本工が、雨天により今大会初の継続試合となった。6回途中、熊本工が3-1とリードして中断し、16日に再開する。春夏通算43度の甲子園出場を誇る熊本工は、今年で創部100周年。初戦は水を差されたが、伝統の「熊工」ユニホームに袖を通すナインが大会3連覇を誓った。

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横殴りの雨が藤崎台球場に降る中、午後2時半に継続試合決定のアナウンスが響き渡った。熊本工を率いて4年目の田島圭介監督(41)は「やりたかったです。まあでも、また仕切り直しですね」と恨めしそうに空を眺めた。

1回に先制を許したが、泰然自若に構えた。3回に同点とし、4回に2点を勝ち越し、流れをつかみかけた。ただ、雨脚が強まり、3-1の6回表1死走者なしで雨天中断。約45分後、試合の続きは16日に持ち越しが決まった。

1923年の創部から、今年で100周年を迎えた。過去に春夏通算43度の甲子園出場を誇る県内屈指の伝統校だ。灰色に「熊工」と大きく記されたユニホームは、今も変わらない。エース右腕の松波勲典(いさのり)投手(3年)は「憧れていたユニホーム。熊工のユニホームを見ると、威圧感を感じていました。そういうユニホームの力を借りながら冷静なピッチングをしていきたい」と言う。

松波は2年生だった昨夏の甲子園でもマウンドに上がった。その経験は「先輩に連れていってもらった」と表現した。だからこそ「今年も主力に2年生がいる。甲子園の経験を積ませるのも先輩の役目」と言える。昨秋、今春はともに県決勝で敗れたが、20年の独自大会を除けば、夏の大会は2連覇中。「節目で期待は大きいですが、目標はあくまで3連覇。そして自分たちの野球をする」。今年のエースは、熊工の歴史を心得ている。

96年夏。甲子園決勝で松山商の“奇跡のバックホーム”に敗れたが、数々名勝負を繰り広げてきた。同校OBの田島監督は「いい文化をつなぎたい」と意気込む。まずは16日、継続試合を制す。【只松憲】

◆熊本工 1898年(明31)創立の県立校。熊本県立工業学校から51年に現校名。生徒数は1186人(女子303人)。野球部は23年(大12)創部で部員数109人(マネジャー3人)。甲子園出場は春21度、夏は22度で、夏は34、37、96年の3度準優勝。主なOBは元巨人の川上哲治、元広島の前田智徳、中日内野守備走塁コーチのの荒木雅博ら。所在地は熊本市中央区上京塚町5の1。柿下耕一校長。