19年以来3年ぶりとなる夏の甲子園を目指した挑戦が幕を閉じた。秋田中央のエース土田温人(はると)投手(3年)は込み上げてくる悔し涙を抑えることができなかった。

「甲子園に絶対に行くぞと思ってましたけど、自分の失投で…。高校野球の2年半は終わってみれば長いようで、短かった」

いきなりのアクシデントが土田を襲った。初回のマウンドだ。先頭を空振り三振で1死を奪い、続く2番を二ゴロに打ち取った時だった。「パキッと音が…」。ベースカバーに走った際、右足の甲に痛みが走った。その後の投球にも影響は及んだ。軸足にためがつくれない。投じるボールに力が伝わらない。それでも、4回までは低めの制球を頼りに無失点で抑えるも、限界だった。

5回に4安打などで3点を失い、6回には4連打を浴びて逆転を許す。この回で無念の途中降板となり、5回2/3を投げ10安打9失点(自責7)と踏ん張ることができなかった。「自分の実力不足。足の痛みは言い訳にはできない。抑えられなかった自分が弱いです」と言葉を振り絞った。

能代松陽とは春季県大会では3-4と敗れ、春先の練習試合(7イニング制)では2試合を行い、計30点差以上もつけられる大敗を喫した相手だった。勝田慎監督は、「選手たちは良くやってくれた。地獄の底をはいつくばって、この夏に向けて頑張ってきたことが、みんなの良いところが、たくさん見ることができたと思います」とタオルで涙をぬぐいながら、ナインを褒めたたえた。

土田は今大会全4試合で先発し、2試合連続完投を含む大車輪の活躍だった。投じた球数は計437球。目標とする甲子園にはあと1歩届かなかったが、高校野球の集大成を最後の夏に見せた。「自分のことを信じてマウンドに上げてくれた(勝田)監督には感謝しています。鍛え直して、上のレベルでやっていきたい」。この夏の経験を財産に、さらなる飛躍を胸に誓った。【佐藤究】

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