ノーシードから勝ち上がった鹿児島実が、初の夏甲子園を狙った大島を下し、4年ぶり20度目の全国切符をつかんだ。20度はライバル樟南と並んで県内最多。主将の駒寿(こまじゅ)太陽外野手(3年)は「ほっとしてます。去年の決勝で負けてから苦しんだけど夏の借りは夏でしか返せない。勝てて本当によかったです」と声を弾ませた。

頭をそり上げた「鹿実」のエース左腕、赤崎智哉投手(3年)は4安打2失点で完投。10三振を奪った。

打線は6回に2点を先制し、7回にも1点を加えて援護。3-0とした直後の7回裏に赤崎は2死二、三塁を背負ったが、相手8番を変化球で空振り三振でしのいだ。さらに9回2死二、三塁から左翼線二塁打で2点を返された。大島の逆襲に遭う中、最後は右飛で逃げ切った。

赤崎は、昨夏は樟南との決勝にビハインドの展開で救援登板し、そのまま敗れており、1年前の悔しさを晴らした。

今大会の鹿児島実は、初戦で優勝候補の神村学園を撃破。準決勝では鹿屋中央に延長11回で振り切り、勢いに乗って頂点を極めた。

準優勝の大島はプロ注目の最速146キロ左腕、大野稼頭央投手(3年)が9回7安打3失点完投、9奪三振と粘った。今夏は6試合、49イニングを1人で投げ抜き、64三振を奪った。奪三振率11・76を残した奄美大島の怪腕は、1点差で敗れ、春に続く甲子園出場はならなかった。

<鹿児島実Vへの足跡>

1回戦 2-1 神村学園

2回戦 10-0 喜界

3回戦 6-3 国分

準々決勝 6-0 鹿児島

準決勝 7-3 鹿屋中央

決 勝 3-2 大島

◆鹿児島実 1916年(大5)、私立鹿児島実業中学館として創立。48年から現校名。普通科、文理科、総合学科がある。生徒数は1401人(女子600人)。創部は1918年で、部員数は73人(マネジャー4人)。甲子園は春9度出場し96年に優勝。夏は20度目で74、91年の4強が最高。主な卒業生は元巨人定岡、元巨人杉内、元ソフトバンク本多、元阪神横田、サッカー元日本代表の遠藤(磐田)ら。鹿児島市五ケ別府町3591の3。渡辺浩二校長。

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