53年ぶりの4強だ! ノーシードの田村が昨秋、今春と県3位の学法石川に5-3で競り勝つ大金星を挙げた。3-3で迎えた7回1死満塁で渡辺敦也主将(3年)が決勝の右犠飛。勢いに乗ったエース左腕・桑原雅仁(3年)が7回以降を打者10人で締める完投で、53年ぶり6回目の準決勝進出を決めた。

53年前から固く閉ざされた扉を、ナインが笑顔でこじ開けた。チームのテーマは「つなげスマイルベースボール」。0-3で迎えた6回に打線を「つないで」2点を返すと、続く7回にも打者8人で2点を追加し逆転。渡辺敦は「チームメートやお客さん、さまざまな人の表情ひとつで変わってくる部分がある。(僕たちは)試合を楽しみながら笑顔でプレーしています」。チームのテーマ通り、劣勢でも笑顔を絶やさず、1人1人が楽しんだ結果が打線のつながりを生み、53年ぶりの快挙につながった。

学法石川の強力打線を6安打3失点に抑える力投で勝利に貢献した桑原は、「今日は右バッターのインコースへの真っすぐとカットボールが良かったです」と振り返った。渡辺敦と話し合い、相手打線はインコースがやや弱いと分析。厳しくインコースを攻め続け、7、8、9回は、そのほとんどを真っすぐで打ち取った。最後の打者を遊ゴロに打ち取った球もインコースの直球。桑原は「先輩たちの悔しさを晴らすためにも4強にいけてよかった」と胸をなでおろした。

開幕戦に登場した田村は、この試合が参加校最多の5試合目。福島西との開幕戦は、両軍合計29安打の乱打戦。2回戦は7回コールド勝利など、5試合で多岐にわたる試合を経験した。大友研也監督は「いろんな展開を経験できたことによって、今日は3点を取られても落ち着いていた。5試合の経験が力になっている」と、選手たちの成長を実感した。確かな成長曲線の先に見据えるのはもちろん甲子園。桑原は「先輩たちに『かっこよかったぞ』と言われるよう、これからも勝っていかないと」と気を引き締めた。同校初の快挙「甲子園出場」への扉はもう開かれている。【濱本神威】