関東NO・1投手、木更津総合の越井颯一郎投手(3年)が決勝で力尽きた。

先発のマウンドに立ったが、初回から制球が定まらず4回まで毎回、満塁のピンチを背負い、6回途中で降板。12安打6四球で6失点。リリーフ陣も市船橋打線につかまり、19安打13失点。五島卓道監督(68)は試合後、開口一番「試合になりませんでしたね」と話した。

昨秋は最速146キロの真っすぐと、キレのある変化球で県を制覇。秋季関東大会は4強入りし、センバツでは関東NO・1投手と評価された。しかし今大会直前、変化球の練習中、突然調子を崩した。変化球でストライクがとれない。ストライクを取ろうとし、手投げになり痛打される。五島監督は「結局、大会に入っても調子は上がってこなかった。自信をなくしたんですかね。越井中心のチームだったので」と思いやった。

それでも、準々決勝、準決勝と先制点を奪われる中、野手が奮起。後半勝負で粘り強く逆転し、決勝までたどり着いた。

越井は「情けない試合になった。悔しいです。変化球で腕が振れない。真っすぐが高めに浮く。いつもと違う自分でした。力不足です」と、下を向いた。

敗戦にも、チームメートの大切さを痛感した。試合終盤はチームメートが「もう1度越井を甲子園に連れて行こう」と言い合って戦っていた。越井は「最高の仲間たちでした」と、絆を深めた夏に感謝し、顔を上げた。【保坂淑子】