愛工大名電が接戦を制し、連覇へあと1勝に迫った。8回に藤山航平捕手(3年)の3ランで勝ち越したが、中日OB岩瀬仁紀氏(野球評論家)の長男で2番手登板した岩瀬法樹投手(3年)が1回無失点と好投し、勝利に貢献。2年連続、夏の甲子園が見えてきた。

1イニングでも父と同じような輝きを右腕が見せた。2点を追う3回に2番手でマウンドに上がった岩瀬は新兵器を駆使した。今年自ら考えて編み出した2種類のスライダーにチェンジアップ。2番打者から始まる打順でも、直球と3つの新球を交え、11球で3者凡退を完成させた。

「自分が登板するときは相手はスライダーを意識する。違う球種なら嫌だろうな、打ちづらいだろうなと考えた」。昨年までの変化球は大きく曲がるスライダーだけだった。選択したのは直球と新球3種を使う頭脳戦。岩瀬の好投からリズムをもらった打線は直後の4回に同点に追いついてくれた。

昨年6月に右肩を痛めた。父仁紀さんが現役時代に通った接骨院を紹介され、通い、今年3月に完治。父は日本プロ野球記録の1002試合を投げ抜いた。「大会前に父からケガだけはしないようにと言われました」。鉄人の遺伝子を持つ右腕が、チームのピンチを救うのは、これからだ。【伊東大介】