第4シードの静清が聖隷クリストファーを3-0で退け、夏は2005年以来17年ぶりの甲子園へ王手をかけた。先発のエース久保陸弥(3年)が8回0/3を投げ、5安打無失点と好投。チームを快勝に導いた。

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静清の久保が、本領を発揮した。継続試合再開となった3回表に、打線が1点を先制。リードをもらい、エースは「勇気づけられた」と振り返った。

5回は1死満塁のピンチで併殺に打ち取ると、跳びはねて感情を爆発させた。6回から8回までは3イニング連続で3者凡退。9回先頭打者に単打を許してマウンドを降りたが、「役目は果たせた」。2番手の笹ケ瀬翔太(3年)が後続を打ち取り、完封リレー。久保は「自分でも『よく投げたな』と思った」と笑顔を見せた。

冷静な投球術が光った。静岡商との準々決勝まではオーバースローだったが、準決勝からサイドスローに変更。「力で押すのではなく、かわすイメージだった」。相手打線を分析した上で、得意のスライダーも曲がり方に変化をつけたという。降雨で継続試合となった前日27日の午後は、体のケアに努めた。この日は「最初からエンジン全開でいくつもりだった。気力で投げた」と胸を張った。

旧校名の静清工で優勝した2005年(平17)以来、17年ぶりの優勝まであと1勝。久保は、疲労が蓄積し、満身創痍(そうい)の体だが、「(連投も)大丈夫。決勝は気持ちが強い方が勝つと思う」と力を込めた。【神谷亮磨】

<聖隷クリストファー・上村監督、選手ねぎらう>

聖隷クリストファーの甲子園初出場を目指した戦いが、準決勝で幕を閉じた。継続試合として再開した3回1死二塁、先発の今久留主倭(いまくるす・やまと)投手(2年)が連打を浴び、先制点を献上。7回にも2点を失うと、打線も援護できなかった。弓達寛之主将(3年)は「甲子園に行って、自分たちがやってきたことが間違っていなかったと証明したかった…。悔しい」と唇をかんだ。

昨秋東海大会準優勝ながら、今春のセンバツは選考漏れ。“願ってもいない形”で世間から注目される中、ナインは奮闘。第1シードの浜松開誠館を下すなど、5つの白星を重ねた。上村敏正監督(65)は「選手が背負ってきたものは、並大抵のものじゃない。私より生徒の方が、気持ちが強かった。精いっぱいやった」とねぎらった。