山形きっての好打者が、聖地で記録ずくめのアーチをかけた。地方大会で打率5割7分1厘をマークした鶴岡東・土屋が、大会第1、2号の連続アーチ。史上3人目となる快挙を達成した。1本目は夏の甲子園1700号。記録に残る2発で初戦突破に貢献した。

緊張は甲子園の雰囲気が消してくれた。「試合に入る前までは緊張していましたが、球場に入ってからは『楽しい』という気持ちになって、リラックスして打席に入れました」。2回1死三塁、真ん中高めに入った115キロのスライダーを左翼席中段に突き刺す今大会第1号。7回1死には、カーブを再び左翼席へ。どちらも右翼から左翼に吹く浜風にうまく乗った。聖地にのまれるどころか、味方につけた本塁打だった。

打撃好調の要因は意識の変化にある。「2年生の時は先輩がいて、自分が打たなくてもいいやと思っていた。今は自分がやらなきゃいけないという風に変わりました」。甲子園でもその姿勢は変わらず、スタンドの大歓声にも「必死すぎてよく覚えていないです。(スタンドに)入ったところも見ていなかった」。責任感を前面に、目の前のプレーに全力で取り組む。

次戦は好投手・山田擁する近江が相手。土屋は「これで満足しないで、次の試合もヒットでいいので、打てるように頑張ります」。2回戦以降も、全力プレーで立ちはだかる相手を打ち崩す。【浜本神威】

◆夏の甲子園球場1700号 鶴岡東・土屋の1本目の本塁打は夏の甲子園球場で区切りの通算1700号。大会通算では1733号だが、33本は甲子園以外の球場で出ている(豊中5、鳴尾15、西宮13)。

◆大会1、2号 土屋は今大会本塁打の1号と2号を続けて打った。夏の大会で同じ選手が1、2号は76年津末英明(東海大相模)、91年津川力(明徳義塾)に次いで3人目。

◆個人1試合2本塁打 山形県の選手では19年丸山蓮(鶴岡東)が習志野戦で2打席連続を放って以来2人目。チーム1試合3本塁打は19年鶴岡東(対習志野)の2本を上回り県勢初。